対象:投資相談
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杉浦 恵祐
ファイナンシャルプランナー
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海外口座の税務の取扱いは国内とは異なります
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近藤勇さんへ。お待たせしました。FPで証券税制マニアの杉浦恵祐です。
まず、結論です。近藤勇さんが日本国の居住者である限り、外国証券会社の日本の支店等ではなくインターネット等で直接海外の業者を通じて行った先物取引から発生する所得については、一律20%の税率の「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」の申告分離課税の対象にはなりません。
他の所得と合算する総合課税(所得税+住民税で最高50%)の雑所得です。
よって、同じ普通の雑所得同士ですから、国内の相対FX業者を使った場合の損益と海外の業者でのTOPIX先物、日経225先物の取引の損益とは通算可能です。
個人のクロス取引については、取引自体が適法なものであれば、税務上も正常な取引として認められます。
また、FXに関しては発生する利益全部(スワップ+トレード)が雑所得に該当します。
ただし、ロールオーバーの取扱いがFX業者ごとで異なることから、利益の所得としての計上時期はFX業者によって異なりますのでご注意ください。
海外口座で預金利子、株式配当、株譲渡益、投信の収益分配、デリバティブ収益等の所得が発生した場合は、日本の金融機関で運用した場合と全く同じ所得区分になります。
しかし、租税特別措置法での特例は適用されません。
日本の銀行で円預金 → 租税特別措置法第3条1項で利子所得であっても20%の源泉分離課税(申告不要)
海外の銀行で円預金 → 総合課税の利子所得(申告必要)
日本の証券会社で外国株を売却 → 租税特別措置法第37条の11で10%の軽減税率適用可、特定口座利用可。ただし、税務署へ支払調書や年間取引報告書の提出あり
海外の証券会社で日本株の売却 → 株式譲渡所得で20%の税率の申告分離課税、特定口座は無い。日本の税務署へ支払調書提出無し
補足
日本の会社で日経225先物 → 租税特別措置法第41条の14で先物取引に係る雑所得等の20%の税率の分離課税の特例有り。ただし、税務署へ支払調書や年間取引報告書の提出あり
海外の会社で日経225先物 → 総合課税の普通の雑所得(最高税率50%)。日本の税務署へ支払調書提出無し
近藤勇さんもよくご存知の通り、日経225先物取引は大証だけではなくシカゴマーカンタイル取引所、シンガポールSIMEXに上場されていますし、オフショア市場で盛んに売買されています。
個人の証券税制は、日本の業者を通じての取引を想定して書かれたり言われたりしていますが、海外口座を使った場合の証券税制は、特例無しの所得税の基本通りの課税だと認識しておくべきでしょう。
先物取引に係る雑所得等の課税の特例の対象(20%の分離課税、特定口座なし)
・国内の商品取引会社を通じての国内商品取引所での商品先物取引
・国内の証券会社を通じての国内証券取引所での有価証券先物取引等
・国内の金融機関を通じての国内金融先物取引所での金融先物取引等
(損益にかかわらず、支払調書がその決済があった日の属する月の翌月末までに、取り扱い証券会社等から所轄税務署に提出されます。)
特例の対象外(通常の総合課税の雑所得)
・国内の会社を通じての海外商品取引所での商品先物取引
・国内の証券会社を通じての海外証券取引所での外国市場有価証券先物取引等
・店頭取引での有価証券のデリバティブ取引
・国内の金融機関を通じての海外金融先物取引所での金融先物取引等
・店頭金融先物取引等(くりっく365以外の通常のFX等)
・海外の金融機関等を通じてのデリバティブ取引すべて
(海外口座での取引では、あたりまえですが、その海外の会社から近藤勇さんの住所を管轄する税務署に対して、支払調書が提出されることはありません。)
評価・お礼
近藤勇 さん
ご回答ありがとうございます。
大変良く理解できました。質問には明記してありませんでしたが、お察しの通りCMEやSGX(旧SIMEX)でも日経平均先物やオプションの売買を行っており、こちらについても大変クリアになりました。
これ以上ない回答をいただき、大変感謝いたしております。
重ね重ねありがとうございました。
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この回答の相談
現在、海外の業者にてTOPIXならびに日経225先物の取引を行っています。
今年から新たにFXの取引も開始しようと考えていますが、国内の相対FX業者を使った場合、それぞれの損益を雑所得として… [続きを読む]
近藤勇さん (神奈川県/39歳/男性)
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