対象:独立開業
回答数: 1件
回答数: 1件
回答数: 2件
後藤 義弘
社会保険労務士
1
コスト面での注意を
はじめまして、きっちょんさん
昨今「年俸制」をめぐってはいくつかの誤解や問題点が指摘されているところですが、ここでは賞与込みの「年俸制」を採用される場合のコスト面での注意点について少しお話しておきます。
仮にお給料額の設定を年額 ''900万円'' としましょう。そして「年俸制」をベースに下記の通り2つの給与支払パターンを想定します。
【1】 「賞与」込みで総額を12ヶ月で割り毎月「均等」に支給する
(月額給与) 75万円
【2】 「給与」と「賞与」を分けて支給する
(月額給与) 約 58万円
(賞与) 100万円 [夏・冬2回]
これをもとにそれぞれの「社会保険料」負担額の差(年額)を検証してみましょう。(金額は「会社負担分」+「従業員負担分」の合計, 介護保険は考慮せず)
[社会保険料年間負担額]
【1】 ''1,827,364円 ''
(健康保険) [750,000円×82/1000]×12ヶ月 = 738,000円
(厚生年金) [620,000円×146.42/1000]×12ヶ月= 1,089,364円
【2】 ''2,074.053円 ''
(「給与」対応分)=(B)
[590,000円×228.42/1000]×12ヶ月= 1,617,213円
(「賞与」対応分/健康保険)=(C)
[2,000,000円×228.42/1000] = 456,840円
(B)+(C)=2,074,053円
よって差額は
【2】−【1】 = ''+246,689円'' (うち会社負担分寄与''123,344円'')
と、同じ年収額なのにもかかわらずこのような差額が発生します。 つまり【1】の方がコスト的に有利であることを意味します。 よってこの例でいくと「給与」と「賞与」として区分して払うよりも、すべて毎月の「給与」として払うほうが、会社も従業員も社会保険料が''節約''できるということです。
補足
もし最初から年間に支払う給与(賞与)の額が決まっている、固定されているという意味での「年俸制」をとり、少なくとも上例のように「年俸額」が比較的高額となるケースは、こうしたコスト面からのマネジメントを働かせながら賃金設計することも大切です。(ただし「賞与」の額によっては上の結果とは逆になるケースもあるので注意が必要です。)
(注)上記社会保険料計算額は完全なものではなく端数処理や適用保険料率の関係上多少のズレ(数十円単位)が生じうることお含みおき願います。
なおこの「差額」のからくりについては下のコラムにて補足説明していますのでそちらもご参考にいただければと思います。事業を運営していく上で従業員の給与設定に参考になると思います。
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/5153
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/5154
【その他関連コラム】
''1. 『従業員の給与に年俸制を採用すれば「割増賃金」の支払いは逃れられる?』''
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/5977
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/5978
''2. 『そもそも従業員の給与に年俸制を採用するメリットはあるの?』''
https://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/6062
https://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/6063
''3. 『年俸制が適しているのはどんな従業員?』''
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7011
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7012
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7015
(現在のポイント:2pt)
この回答の相談
会社を立上げ従業員の給与をボーナスを含めた年俸制にしようと考えています。
月給制の場合と比べての注意点について教えてください。
きっちょんさん (東京都/31歳/男性)
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A