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対象:体の不調・各部の痛み

鉄欠乏合併の可能性あり!体重減量はペースと目標設定が大切です

2017/07/14 19:12

5月末よりダイエットを開始し、体重が減り始めた一方で、異常に疲れやすい、階段を上るのが辛い、等の症状に悩まされているご様子です。また35℃という低体温、上が80、下が50という低血圧の所見もある模様です。せっかくダイエットに取り組み、成果が出始めている状況で、このような体調不良に見舞われるのはさぞかし残念でしょうし、生活や仕事などにも少なからぬ支障があるのではないかと拝察いたします。

疲れやすい、階段を上るのが辛いという症状は、一見して貧血や鉄欠乏の存在を示唆しています。貧血はないというお話ですが、健診などで貧血がなかったのに、詳しく調べたら鉄欠乏が見つかった、などというのは頻繁に見受けられる事例です。医学用語で「潜在性鉄欠乏」と呼んでおり、意外と見逃されやすい栄養障害の一つとされています。鉄欠乏は10~40代の月経がある女性に於いて、高頻度に認められます。
一方で、ビタミンB群の欠乏があるかも知れません。ビタミンB群にはB1、B2、B6など全部で8種類あり、多様な機能をもっていますが、男女を問わずビタミンB群の欠乏症が増えてきています。ビタミンB群が欠乏すると、体の怠さ、憂うつ感、不眠、口内炎、音などへの過敏、痩せにくいなど様々な症状が現れやすくなります。その他にもタンパク質や亜鉛、カルシウム、マグネシウム等も欠乏しやすい栄養素です。

ダイエット中に体調を崩す方は後を絶ちませんが、その原因の一つは「早過ぎるペース」です。あまりにペースが早過ぎると、上述のような各種ビタミンやミネラルなど微量栄養素や、たんぱく質などの欠乏症になりやすいと同時に、反動で過食に走った場合、反転して体重が急増する「ヨーヨーダイエット」に陥りやすいという傾向があるためです。急速に痩せたとしても、体調を崩してしまっては本末転倒というものです。
「ゆるやかに体重が落ちてきて・・」というお話ですが、5月末からのダイエットという事は、1ヵ月も経っていない頃かと思います。その比較的短い期間に52キロから49キロという3キロの減量を達成した事になりますが、これは割合にすると体重の6から7%に相当し、結果として「かなり急速な」体重減少と言えます。一般に無理ない減量は「6ヵ月で5%以内」とされていますので、やや急速すぎると考えられるのです。

体重減少に関しては、そのペースと伴に「目標設定」も大切です。身長から計算した「標準体重」という概念があり、そこに様々な条件を加味して目標体重を決定することが一般的です。具体的には、身長から100を減じて0.9を掛け合わせて得られた理論値に、主観的なイメージを考慮して標準体重を決めます。例えば身長が150cmの人の場合、計算上は45キロが標準ですが、より痩せたい場合は43キロを目標とします。
その考え方に立った場合、現在の49キロから更に17キロも減らすとなると、32キロが目標という事になります。身長によって32キロという体重の評価は違ってきますが、恐らく「非常に痩せた」状態が想定されます。身長を教えて頂ければ、計算上の標準体重を割り出すことが出来ますし、それを参考に無理のない現実的な目標体重をアドバイスすることが可能ですが、如何なものでしょうか。

それでは実際問題として、体調を維持、向上させつつ無理のない継続的な減量を実現させるためには、具体的にどのような工夫が求められるのでしょうか。そのためには意外と思うかも知れませんが「しっかり食べる」事が最も大切です。しっかり食べると太ってしまうのではないか、と不安に感じる向きもありますが、「太らない、真っ当な」食品ならば、しっかり食べても太ることはそうそうありません。
太らない、真っ当な食品には、どのような物があるのでしょうか。基本的には野菜、海藻類、豆類、キノコ類をたっぷりと摂取し、肉や魚などのタンパク源をしっかり食べる事が重要です。これらの「おかず(副食)」となる各種食材は、極端な多食や甘い味付けにならない限り、体重を増やす事はありません。むしろビタミンやミネラル、タンパク質など必要な栄養素をしっかり摂れるので、体調の維持、向上にはとても有用です。

一方で「主食」である炭水化物、すなわち白米やパン、めん類などは、なるべく控え目にした方が無難です。炭水化物は言うまでもなく糖質ですので、過剰となれば体重増加や肥満に直結します。また玄米以外はビタミンやミネラル、タンパク質が豊富ではないため、これらの栄養素の補給という点ではあまり役に立ちません。実際に炭水化物の摂取量が多いと、ビタミンやミネラル、タンパク質が不足しやすくなります。
さらに気を付けたいのが「お菓子」です。種類にもよりますが、お菓子は当然ながら砂糖がとても豊富です。その結果、食べて間もなく血糖値が急上昇し、その後インスリンが分泌されて血糖が急降下します。そのため太りやすいのはもちろんの事、血糖値の乱高下によって低血糖や眠気、イライラ感、倦怠感など様々な体調不良の元となりやすいため、できるだけ避けた方がよい食品に分類されます。

体重を無理なく減らし、体調を維持、向上させるためには「運動」も重要な取り組みです。お話では「運動不足はない」という事ですが、運動には一定のペースで取り組まれているのですね。但し明らかな体調不良がある時や、急速な体重減少があった場合には、運動の強度や量、ペースには注意が必要です。一言でいうと、体調維持を最優先とし、無理ない範囲で運動を行なうことが大切なのです。
具体的には、体の怠さや息切れ、立ちくらみ等の症状が目立つ時期には、ストレッチ等の軽い運動を主体とし、余裕があればウォーキングなどを体調に合わせて行ないます。食事の工夫などで体調が回復してきたら、軽めのジョギングや水泳、サイクリングなどを無理ない範囲で行ないます。もっと回復したら、筋トレを交えた本格的な運動を計画的に行なう、という戦略で考えては如何か、と思います。

以上を総合すると、減量の事は一たん脇に置き、体調の維持を優先して食事の工夫に取り組み、体調が回復してきたら様子を見ながら運動にも取り組む、というスタンスが望まれます。当初は体重計に乗ってもガッカリすることがあるかも知れませんが、焦る必要はありません。体調の回復の後を追うように、体重も自然と収まるところに収まってくるものです。

なお詳しくは、私の他のQ&Aやコラム、それに私のホームページ(2本あります)のブログに多数掲載してあります。是非ご参考になさって下さい。

蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
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この回答の相談

疲れやすい

心と体・医療健康 体の不調・各部の痛み 2017/06/29 17:07

5/30にダイエットを始めスタートは52.2キロ、人生で最大54キロありました

いま、ゆるやかに体重が落ちてきて49キロです
問題は異常に疲れやすいことで、階段上ること、走ること、立ちっぱなしが難しくなってきました
… [続きを読む]

さら❤︎さん

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