(続き)・・食事と並んで「運動」も大切な取り組みです。適度な運動をすることによって血管内の血流が増し、内皮細胞に良い刺激が加わります。内皮細胞は一酸化窒素(NO)を産生して血管を拡張させ血液をサラサラにしますが、運動によってNOの産生が促され、血流がよりスムーズになるとともに動脈硬化の進行が抑制されます。運動習慣によって体重や中性脂肪などが減少し、血管へのストレスが減少することも見逃せません。
具体的にはどのような運動が適しているのでしょうか。運動には有酸素運動と無酸素運動とがありますが、一般的には有酸素運動がお勧めです。すなわちウォーキングや軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの運動です。これらの運動を定期的に行なうことによって血管の状態が良くなり、また脂質や血糖値、体重などの数値に良い変化が現れますし、運動によってストレスを発散させる効果も大きいのです。
有酸素運動と並んでストレッチ運動にも取り組みましょう。ふくらはぎや大腿後面などの筋肉を引き延ばすことによって、筋肉内の疲労が軽減し、血管も柔軟にしなやかになります。また適度な筋肉トレーニングもお勧めです。筋力を向上させることで血管の伸縮能力も向上し、血流をスムーズにさせることにも寄与します。さらに下肢の筋力を鍛えることで、浮腫みの予防や解消にもつながります。
運動と共通する点がありますが、お風呂を有効に活用することが動脈硬化の抑止につながります。但しお風呂の温度と入り方には注意が必要です。40℃以上の熱い風呂に入ると過剰な刺激により血管が収縮して血圧が上昇し、かえって危険です。湯あたりを起こして救急車で病院に運ばれる人は、たいてい40℃以上の熱い湯に浸かっています。また冬の寒い時期にお湯と浴室の温度差が大きいのも避けたいところです。
血管に優しいお風呂の入り方は、38℃前後の温めの湯に半身浴でゆったり浸かることです。このくらいの温度ならば血管が拡張し血圧も少し低下します。肩を水面の上に出す半身浴ならば、血圧の高い方にも負担がかかりません。何よりもストレスが緩和され、疲れが取れることでしょう。冷え性の方の場合は、半身浴と並んで足湯や手湯も併用すると、さらに効果的です。
そして「心の状態」がとても大切です。血管の病気で倒れる人によくあるのが、せっかちで何でも早くしなければ気が済まない、完璧主義で気の休まる暇がない、といった性格傾向です。血管を健全に若く保ち、突発的な病気にならないためには、少しでものんびり余裕をもって過ごし、多少の不具合には目をつぶるゆとりも必要です。「病は気から」という通り、気持ちの持ち方一つで病気になる、ならないが左右されるのです。
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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