予算に制限が無ければ、全てに贅を尽くして建物を建てれば良い建物が出来上がるのはいうまでもありません。しかし、現実に予算に制限があり、全てにお金を掛ける事は出来ません。
最近、相談等で良く耳にするのが、構造・省エネ性と云った基本性能を重視したいと云う声です。仕上げ材や住設機器と云った取替えの効く品物は価格を抑えて、その分基本性能にお金を掛けようと云うものです。
昔も実は、こう云った基本性能にこだわる家造りの需要は多くありました。しかし、その要求に応える環境整備がなされていませんでした。
ハウスメーカーや建売住宅は人の目に映る表面的なところにお金を掛けますが、建物の基本性能については、自社の有利になるような宣伝表現や抽象的な言葉で良さを強調するだけで、ユーザーはそれを信用するしかありませんでした。
現在は、建物の強度や省エネ性等を共通の指標で現す事が可能になっています。耐震等級とか温熱等級とか云った言葉を良く耳にする様になりました。これは住宅性能表示制度で規定されている言葉です。
住宅性能表示制度を活用すれば、自分の希望する住宅の基本性能を的確に施工者に伝達する事が可能になります。
今までの建設費の組み立ては、変動の激しい仕上げ材や住設機器を先に決めて、住宅の基本性能はそれに付随すると言う組み立てで、予算組が行われてきました。これからは、基本性能に費用を充分掛けて、残りの予算で仕上げを考える時代が来ているのだと思います。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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