当社では、宅建業法で説明が定められている「重要事項説明書」「売買契約書」とは他に、
『物件調査報告書』を作成し、同時に説明しています。
その添付資料の中には、「重要事項説明書」では説明しないことや、
物件そのもの問題というよりは、その地域、その場所の特色のような情報も載せています。
そしてこれらの情報は、不動産の専門知識や、経験値から育まれる洞察力が必要となる
不動産の現地調査、役所・法務局調査などとは違い、誰でもその状況を理解したり、
物件選びの参考にできる情報です。
その中から、ネット上で簡単に検索して閲覧できるものを、いくつかご紹介いたしますので
、是非、物件選びの参考にしてください。
本日は・・・
『過去の水害記録』です。
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/suigai_kiroku/jisekizu/jisekizu.html
浸水実績図は、過去の浸水被害の実績を明らかにすることにより、
都民がそれぞれの地域における危険性を認識し、自らが対応策を講じるとともに、
新たな地下施設の設置時に被害防止対策を講ずる際の基礎資料となるものです。
『物件情報のイロイロ【ハザードマップ】
http://profile.ne.jp/w/c-70978/』では、水害予想地域で、
実際に水害があったのかどうか、もしあればそれはどの程度のものだったのかなどを、
近隣住人に聞いてみることをお勧めしましたが、こういった浸水の実績図でも、
ある程度確認ができるので、便利な情報です。
しかしこの浸水実績図は、水害統計調査に基づき調査した水害について、
水害区域の面積が0.1ha以上又は被害建物棟数が10棟以上一体となった区域を対象に、
東京都が浸水実績を区市町村ごとにまとめたものです。
つまり、10件未満の被害状況では、この図面に反映していないことがあります。
その場合、各市区町村で更に詳細な被害状況の記録がないか問い合わせてみるのも良いです。
行政によっては、ネット上で公開して閲覧できる場合もあります。
下記に参考として世田谷区、大田区を載せておきます。
『世田谷区浸水概況図』
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00020100.html
『大田区浸水実績図』
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/amekaze/sinsui_j/index.html
これらは、東京都(被害件数10件以上)のものより、詳細な情報(10件未満も対象)が掲載されています。
この2つの情報ですが、たまに矛盾した内容になっている時があります。
東京都(被害件数10件以上)の浸水実績図にはマーキングがされているのに、
区の情報(10件未満も対象)にはマーキングがされていないケースなどです。
被害件数が1~9件の場合なら、逆のケースは考えられますが、これは矛盾しています。
このことについて東京都や区の防災課などに問い合わせた結果、
その時は東京都が誤って、水害履歴のないところにマーキングをしてしまっていたとのことでした。
このように、水害がない地域をマーキングしていたり、水害履歴があるのにマーキングがされていない
という可能性もありますから、片方の情報だけをみて判断するのでなく、
もし両方の情報があれば、照合してみることも大切です。
そして、実績図の照合だけでなく、やはり現地での聞き込みも大切ですね。
区の情報が東京都よりも詳細だと言っても、概ね感覚で付けているものなので、
ザックリと色付けされた際に、被害のない本地も含まれちゃっていることもあるでしょうし、
履歴があったとしても、地下室のある建物1棟だけと、床上浸水9棟の地域とでは、
購入判断や浸水対策に要する建物プランにも大きな違いがでると思います。
また、周辺での水害対策も確認してみると良いでしょう。
水害履歴とは数年前のものが多いですから、現在までの間にどういった対策が、
いつから行われ、いつ頃から稼働しているのか、その後の大雨時の水害状況はどうか
を確認します。
これで、対策以降に以前の様な浸水が無くなっていたり軽減されていれば、
ハザードマップや過去の浸水実績図にある情報だけでダメな地域としてしまうには
勿体ない場合もあると思います。
大雨の際には区から避難勧告や避難指示が出る場合もありますが、
ハザードマップや浸水実績図により、ご自宅や購入予定物件の周辺状況をよく確認して、
いざという時に備えてご自宅から避難所までの経路を確認するなど、
日ごろからの備えをしておくのにも、お役に立つ情報です。
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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