事業承継と取得条項付種類株式 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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事業承継と取得条項付種類株式

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7 取得条項付種類株式

(1)概要

 一定の事由が生じたことを条件として,会社が株式を取得する権限を有している種類の株式です(会社法108条1項6号)。この内容を全部の株式の内容として定めることもできます(会社法107条1項3号)。この場合,種類株式ではありません。

(2)事業承継との関係

 後継者以外の相続人に取得させる株式を取得条項付株式とすれば,会社は一定の範囲で株式を買い取ることが可能になり,後継者に議決権を集中させることができます。

また,取得条項付株式の取得対価は,金銭だけでなく,社債や他の種類株式にすることが可能です。そこで,例えば,【事例】の後継者丙に取得条項を付けた議決権制限株式を贈与しておき,事業承継を成立させたい時点で後継者が有する議決権制限株式を普通株式に転換することで,甲は事業承継成立時に後継者丙に議決権を集中させることができます。

(3)導入方法

 取得条項付種類株式を新たに発行する場合には,発行可能種類株式総数および以下の事項を定款に定めることが必要です(会社法108条2項6号イロ)。

(ⅰ)一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由

(ⅱ)当該株式会社が別に定める日が到来することをもって(ⅰ)の事由とするときは,その旨

(ⅲ)(ⅰ)の事由が生じた日に株式の一部を取得することとするときは,その旨及び取得する株式の一部の決定の方法

(ⅳ)株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債を交付するときは,当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

(ⅴ)株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権を交付するときは,当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法

(ⅵ)株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは,当該新株予約権付社債についての当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についての当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法

(ⅶ)株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式,社債及び新株予約権をいう。)以外の財産を交付するときは,当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

(ⅷ)株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは,当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法

 

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