- 村田 英幸
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対象:事業再生と承継・M&A
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5 取得請求権付株式の取得
(1)手続
取得請求権付株式の株主は会社に対して,当該株式を取得することを請求することができます(会社法166条1項)。請求がなされた場合には,会社はその請求の日に当該株式を取得することになります(会社法167条1項)。ただし,当該株式を取得するのと引換えに交付する財産の帳簿価額が分配可能額を超えるときは,請求をしても取得の効力は生じません(会社法166条1項ただし書)。
会社は,定款変更により既存株式すべてを取得請求権付株式にすることができます(会社法107条2項2号,会社法108条2項5号,会社法309条2項11号)。
種類株式発行会社において,一部の種類株式のみ取得請求権を付するためには,
定款変更のための株主総会の特別決議(会社法108条2項5号,会社法309条2項11号)および定款変更によりある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがある場合には,その種類株主総会の特別決議が必要になります(会社法322条1項1号ロ,会社法324条2項4号)。
(2)メリット
取得請求権付株式の取得対価は,金銭に限られず,例えば他の種類株式を対価とすることもできますから,会社は費用をかけることなく株式を取得することもできます。
(3)デメリット
取得請求権付株式の株主は,取得請求期間中いつでも,会社に対して,取得を請求することができ,財源規制の制限(会社法166条1項ただし書)に触れない限り,会社はこれを拒むことはできず,会社は当該株式を取得しなければなりません。
株式取得対価が金銭の場合,取得請求が相次いで,会社が自己株式の買取りを大量に行うと,会社の運転資金の資金繰りなどに影響を与えることになりかねません。
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