事業承継と相続分の指定と特定・包括遺贈の対抗要件の要否 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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事業承継と相続分の指定と特定・包括遺贈の対抗要件の要否

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相続

【コラム】 相続分の指定と特定・包括遺贈の対抗要件の要否

(ⅰ)相続分の指定の対抗要件の要否

 最高裁は,法定相続分を下回る相続分の指定を受けた場合,その相続人

は,指定相続分しか取得しておらず,これを上回る部分については実質的

無権利者であるから,その相続人が法定相続分割合を第三者に譲渡して

も,第三者は指定相続分を上回る部分については,権利を取得することが

できないとしています(最判平成5・7・19家裁月報46巻5号23頁)。

すなわち,法定相続分と同じく(最判昭和38・2・22民集17巻1号235

頁),指定相続分についても,共同相続人は登記なくして,第三者に対抗することができると解されています。      

(ⅱ)特定遺贈の対抗要件の要否

これに対して,特定遺贈に関して,遺贈を受けた相続人は,他の共同

相続人の債権者に登記なくして,その所有権取得を対抗できないとされています(最判昭和39・3・6民集18巻3号437頁)。

(ⅲ)包括遺贈の対抗要件の要否

包括遺贈に関しては,未だ最高裁判決はありませんが,下級審裁判例に

は登記を必要とするものがみられます(東京高判昭和34・10・27高裁民集12巻9号421頁)。

包括遺贈について,第三者に対する対抗要件を必要と考えた場合,相

続人に対する包括遺贈が相続分の指定と解釈されるところ,指定相続分について第三者に対する対抗要件が不要とされている(前掲最判平成5・7・19)ことと矛盾が生じてしまいます。

(ⅴ)判例に反対する有力説

 この点,相続人の範囲は原則として戸籍で公示されており,第三者は

法定相続分を計算することができますから,法定相続分については第三

者の取引の安全が害されることはないといえますが,これと異なる相続

分の指定については第三者の取引の安全が害されます。そこで,包括遺

贈と同じように考え,指定相続分は登記なくして第三者に対抗できない

と考える学説も有力です(内田貴『民法Ⅳ補訂版』503頁。中川=泉『相

続法第4版』258頁も「相続分指定を登記なしに対抗できるとしてよい

かは問題である」と記述されています)。

 

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