- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:消費者被害
- 遠山 桂
- (行政書士)
- 大岡 辰昇
- (行政書士)
継続的役務提供取引被害
Q 継続的役務提供取引被害の問題点と対処法を教えてください。
継続的役務提供取引とは、別表に掲げた各役務の提供やその役務の提供を受ける権利を販売することをいいます(特定商取引法44条2項、特定商取引法施行令12条)。性質上、契約段階ではその効果に曖昧な点が残り、実際に受けてみたところ効果が思わしくないことが少なからずあります。
しかし、いざ中途解約をしようとすると、高額な違約金を請求されたり、そもそも解約が認められなかったりするといったトラブルが多発しています。最近では、語学学校が生徒を集め受講料を徴収しておきながら、業績不振で倒産するといったケースもありした。
まず、こうした取引では、契約の内容を記載した書面の交付が義務付けられているほか(特定商取引法42条)、誇大広告(特定商取引法43条)や不実告知等の不正な手段を使っての勧誘や解約妨害行為(特定商取引法44条)が禁止されています。まずは、これらの規定に違反するような事実がないか確認することが必要です。
また、事後的対処方法としては、クーリング・オフをすることができます。特に継続的役務提供契約の場合には、訪問販売でなくてもこれができるのがポイントです(特定商取引法48条1項)。他方、役務提供事業者は、当該解除に伴う損害賠償や違約金の支払を請求することができません(特定商取引法同条4項)。
もっとも、エステで使った化粧品等の関連商品で、その使用により価額が著しく減少するおそれがある商品を使用したときにはこれらの関連商品はクーリング・オフの対象外となるので注意が必要です(特定商取引法同条2項)。クーリング・オフ期間は契約書面の交付日から8日ですが、これを経過しても、いつでも将来に向かって契約を解除することができます(特定商取引法49条)。
将来に向かってというのは専門用語ですが、すでに提供を受けた役務については解除できず、まだ提供を受けていないものについてのみ解除できるということを意味します。
受講料を一括払いで納めたものの役務提供事業者が倒産した場合に、未受講分の受講料を返還を求めることは容易ではありません。受講料は担保がないため、倒産法では、いわゆる「一般債権」に分類されます。法律上、一般債権は、未払いの税金や社会保険料、労働債権に劣後するので、返還が認められたとしてもほんのごく一部にとどまるおそれがあります。経営者の個人責任を追及する余地はありますが、経営者個人の資産は金融機関の担保となっており、先に回収されてしまうことも多いのが現状です。
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