消費者教育の大学講演 - 消費者被害全般 - 専門家プロファイル

遠山 桂
遠山行政書士事務所 
岐阜県
行政書士

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閲覧数順 2017年07月25日更新

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消費者教育の大学講演

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消費者契約

平成27年6月24日に日本福祉大学経済学部(太田川キャンパス)において、契約学習ネットワーク主催の消費者教育の講演を実施しました。
大学1年生対象の「地域と共生」の講義にて、外部講師として1コマを頂いて講演を行いました。

 

日本福祉大学では、講演依頼を毎年度頂いており今回で9年目となります。
経済学部は本年度より東海市(太田川)の新キャンパスに移転して、教育施設が充実しており素晴しい環境で学習を出来る現在の学生がうらやましい限りです。

講演の概要は昨年講演の下記リンク先の記事をご参照下さい。

日本福祉大学での消費者教育の講演概要(平成26年度)


今年については、クレジットカードを使用したインターネット取引でのトラブルが増えていることから、カード取引の仕組みについての情報を追加しました。
また、コンビニ土下座強要事件に見られるような消費者による過剰・不当な要求に関するトラブルも多発していることから、消費者保護法令の適正な理解と公正な視点を身につける必要性についても時間を割きました。

聴講した学生の皆さんは、これから20歳の成年になる時期なので、近い将来の問題として熱心に聴き入ってくれたようです。

講演後に学生から質問用紙を多数頂いたので、その内容と筆者の回答を以下に掲載します。


消費者講演に関する質問と回答

Q1:インターネットで詐欺に遭った場合、お金を取り戻すことはできますか?
また、詐欺犯を特定できますか?

A1:現状では被害回復は極めて厳しいです。詐欺犯が国内在住者であれば、プロバイダ責任法に基づいて加害者の情報開示をある程度実現することは可能ですが、海外在住者の場合は日本国内法が通用せず、加害者を特定できないことも多いです。
海外詐欺サイトで被害に遭うと解決は困難なので、不審な取引には応じないように予防することが大事です。

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Q2:悪質クレーマーが増えている背景にはどのような問題がありますか?

A2:消費者関連専門家会議(ACAP)が2012年1月に発行した「企業における消費者対応体制に関する実態調査報告書」によれば、社会の変化を如実に示すキーワードとして『情報社会』『高齢社会』『ストレス社会』などを挙げており、これらの社会浸透が苦情・問合せの内容や消費者行動に大きな影響を与えていると分析しています。
詳細は配付資料の8ページに記載しているのでご確認下さい。

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Q3:クレジットの一括支払いは、どうしてクーリングオフできないのですか?

A3:クレジットについては割賦販売法という法律でルールが定められており、クレジットカードは包括信用購入あっせん契約という区分がされています。
この包括信用購入あっせん契約は、2回以上に分割して支払うクレジットは同法の対象になると定めていますが、一括払い(マンスリークリア方式)は対象外とされています。そのためクレジットの一括支払いではクーリングオフができないことがあります。
ちなみにクレジットカードでも2回以上の分割支払いやリボルビング支払いを選択した場合は同法の対象になります。(ただし、リボルビング支払いの場合は利息がかかります。)
一括支払いが同法の対象外とされたのは、クレジットカード発行会社の社会的信用度は高く、一括支払いを選択するのは消費者が取引を信用している証拠であるため、保護の必要性が低いと考えられているためです。(一括支払いでも同法の対象にすべきという議論はあります。)

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Q4:ワンクリック詐欺のサイトで、一応は利用規約を表示するものの、かなり下方にスクロールしないと有料の表示が確認できないケースがあるが、これは無効といえますか?

A4:特定商取引法の通信販売規定や電子商取引準則では、サイト上で有料表示をしていたとしても、それが消費者にとって読みにくい位置に表示されていた場合は適正な表示ではないという解釈の指針を示しています。
よって、明らかに有料表示を隠しているようなサイトでは、承諾ボタンをクリックしても無効であると主張できると考えられます。
また、サイトには規約を表示するだけではなく、契約前の最終確認画面においてもわかりやすく有料であることの表示義務があります。この表示義務を怠ったサイトとの取引も無効であると主張できる余地があります。

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Q5:クーリングオフが可能なものと、そうでないものの違いがよくわからない。

A5:クーリングオフは様々な法律で定められています。そうした法律でクーリングオフの定めがない取引(契約)についてはクーリングオフができないことになります。
代表的な法律としては特定商取引法があります。特定商取引法は下記の取引のルールを定めています。
   (1)訪問販売 (2)電話勧誘販売 (3)通信販売 (4)連鎖販売取引(マルチ商法) 
   (5)特定継続的役務(エステ・学習塾・語学教室・家庭教師・パソコン教室・結婚情報サービスの6業種) (6)業務提供誘引販売(内職商法) (7)ネガティブオプション(送りつけ商法)
   (8)訪問購入
特定商取引法以外でクーリングオフについて定めがある法律については配付資料の14ページをご確認下さい。

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Q6:訪問販売で学生にも関係がある比較的安価な契約にはどのようなものがありますか?

A6:新聞、健康飲料、野菜や果物・味噌などの食品などが多いようです。

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Q7:訪問販売の消化器などの商品はクーリングオフできるというのはわかるのですが、リフォーム工事など大掛かりなサービスもクーリングオフはできますか?

A7:特定商取引法では、訪問販売については原則として全ての商品・サービスについてクーリングオフができると定めています。(一部例外もあります)。
よって、契約価格や設置の高度性にかかわらずリフォーム工事でもクーリングオフは可能です。

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Q8:ネット取引でクーリングオフできないものはありますか?

A7:ネット取引は特定商取引法の通信販売に規定され、サイトで表示される解約条件が優先されます。そのためサイトで返品不可と掲載されていれば解約は出来ません。サイトで解約条件が掲載されていない場合にのみ8日間の法定返品権が認められています。これは返品送料が消費者負担になる等、クーリングオフとは異なるルールになります。
なお、ワンクリック詐欺については、消費者が有料承諾をしていないため、そもそも契約が存在していないという扱いになります。ワンクリック詐欺はクーリングオフではなく、契約が成立していないから無効という解釈になります。

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Q9:パソコンでワンクリック詐欺の警告画面(ウィルス)が表示され続ける場合、IPAのシステム復元のURLを参照して復元操作をするのはわかりましたが、警告画面が表示されているパソコンでもIPAのURLは閲覧可能ですか?

Q9:警告画面が表示されているパソコンでも、インターネット接続とIPAサイト閲覧をすることは可能です。警告画面が邪魔で閲覧し難いのは確かですが、確認は可能です。

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Q10:パソコンではなくスマートフォンでワンクリック詐欺の警告画面が消えない場合はどうすればいいですか?

Q10:スマートフォンの場合はアプリで表示されるので、その警告画面のアプリを削除する操作が必要になります。現状ではそのようなアプリによる被害事例は少ないですが、今後増えてくる可能性はあります。
まだ情報が少ないので対策URLも把握しておりませんが、問題が多発するようになればIPAサイト等で対策が掲載されると思われます。

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Q11:ネットショッピングで安全な買い物をするにはどうしたらよいか?

A11:大多数のネットショップは適正な取引をしています。詐欺サイトを見分ける目を持って危険を避けることが必要です。
詐欺サイトの見分け方については、配付資料の6ページ「ブランド品を格安で販売する海外・詐欺サイト」の項目をご参照下さい。

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Q12:なぜ自宅の住所などの個人情報が販売業者に知られているのですか?

A12:名簿を販売する業者が存在します。景品付きのアンケートなどで個人情報を収集して名簿にする業者も存在します。

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Q13:ワンクリック詐欺のサイトで、自宅は特定可能で法的回収手続をすると警告画面が表示されるようだが、本当に自宅は特定可能ですか?

Q13:ワンクリック詐欺のサイトを閲覧しただけで自宅を特定するのは不可能です。
サイト業者はIPアドレスという固有番号を取得できますが、その範囲の情報では都道府県などの大まかな地域までしかわかりません。それ以上の詳細な情報はプロバイダに開示請求をしなければ不明であり、プロバイダは詐欺業者に詳細情報を開示することはありません。(通信の秘密は法律で守られています。)

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Q14:西友偽装牛肉返金事件では、レシートを保管していない消費者にまで返金をして過大な返金をしてしまったようだが、架空の返金請求が相次ぐ事態を想定できなかったのですか?

A14:販売時点から日数が経過しており、レシート保管をしている消費者が少ないと判断し、消費者の善意性に期待した対応をしたものと思われます。
その対応は失敗であったと評価されています。

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Q15:クーリングオフの例外にはどのようなものがありますか?

A15:クーリングオフの規定がある法律は多種多様で、例外規定は個々に確認が必要なためたいへんな作業になります。代表的な法律は特定商取引法ですが、その第26条に例外規定が列挙されています。
以下に一部を例示します。
<特定商取引法(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売)の適用対象外となる取引>
・申込者が事業者であり、営業用途で行った契約
・消費者が国外で交わした契約
・自治体と交わした契約
・労働組合等と交わした契約
・消費者が勤務先の法人と交わした契約
・株式会社以外の者が発行する新聞の購読契約
・消費者が自宅に事業者を呼び寄せ(請求)して行った契約
・消費者が自宅に電話をかけることを請求して行った契約
・自動車の売買契約
・3,000円以下の消耗品の売買契約
・政令で定める消耗品(生理用品や履物など)を使用した場合
・配置販売業者が配置した医薬品
・店舗を有する事業者が御用聞き営業で住居を巡回訪問する場合の契約
・店舗を有する事業者が1年以内に取引のあった顧客の住居を訪問して行う契約
・無店舗の事業者が1年以内に2回以上の取引のあった顧客の住居を訪問して行う契約
・無店舗の事業者が1年以内に2回以上の取引のあった顧客に電話勧誘をして行った契約
・他の法律で規制が定められている取引
弁護士法、金融商品取引法、宅地建物取引業法、旅行業法、公認会計士法、放送法、
   司法書士法、土地家屋調査士法、商品先物取引法、行政書士法、道路運送法、
   税理士法、信用金庫法、長期信用銀行法、労働金庫法、国民年金法、社会保険労務士法、
   国民年金法、銀行法、貸金業法、電気通信事業法、鉄道事業法、保険業法、弁理士法、
   自動車運転代行業法、信託業法、資金決済法、など。
※特定商取引法の対象取引であっても、他の業法において事業者規制が行われている取引については、該当業法の規制を優先するという考え方になっており、そうした取引については特定商取引の適用はされません。該当業法でクーリングオフ制度が定められているものもあれば、消費者保護の制度が無い場合もあります。

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Q16:悪質商法被害に遭った場合、どこに相談すればいいですか?


A16:まずネットで情報収集をして、自治体の消費生活センターの無料相談を受けるのがよいと思います。
配付資料の15ページを参照して下さい。

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Q17:スポーツ(サッカー)と法律の類似性のところで、危険回避のためのハンドリングではペナルティは適用されないとありましたが、それを悪用するプレーヤーがいると問題だと思う。

A17:その通りですね。
法律でも例外規定を悪用する悪質商法や消費者保護の権利を過剰に主張する消費者の問題が起きています。
スポーツでも法律でも、ルールの悪用をする人は秩序を乱します。そのような事態を予防するために法律(ルール)を正しく理解することが必要であり、そうした状態を保つためにはどうすればよいか、大学生活の中で考えてみてください。

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以上です。