株主代表訴訟が提起された場合の対応策 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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株主代表訴訟が提起された場合の対応策

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 第4 株主代表訴訟が提起された場合の対応策

1 担保提供命令

 株主が悪意の場合には,株主に対して,担保提供命令が出されます(会社法847条7項8項)。担保提供命令が出され,株主が担保を提供しないと訴えは却下されます。

 悪意とは,請求原因の重要な部分に主張自体失当の点があり,主張を大幅に補充あるいは変更しない限り請求が認容される可能性がない場合,請求原因事実立証の見込みが低いと予測すべき顕著な事由がある場合,あるいは被告の抗弁が成立して請求が棄却される蓋然性が高い場合等に,そうした事情を認識しつつあえて訴えを提起したものと認められるとき,とされています(東京高決平成7・2・20判タ895号252頁)。

 

2 訴権の濫用

 長崎地判平成3・2・19判時1393号138頁(長崎銀行事件)では,銀行の株主である原告が,銀行の融資先であった倒産病院の担保物件の私的処分あるいは融資などを名目とする金銭的利益を得るための取引手段として,会社に対する攻撃を正当化するためになされた株主代表訴訟につき,訴権の濫用として,訴えが却下されました。

 会社法では,責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合には,訴えが許されないと規定されました(会社法847条1項但書)。そこで,役員側は,訴権の濫用であるとして,訴えの却下を求めることができます。

 株主の個人的利益が問題となったものとしては,①金銭的利益,②会社が有する担保物件の原告株主による私的処分,③原告株主に対する会社からの融資,④原告株主と会社間の紛争の有利な解決,⑤原告株主が有する株式の高値買取り,⑥株式の第三者割り当て増資,⑦売名などが挙げられますが,長崎銀行事件を除いて,訴権の濫用が肯定された事例はありません。

 

3 会社の役員側への補助参加

 会社は,共同訴訟人として,当事者の一方を補助するため,株主代表訴訟に参加することができます(会社法849条1項)。

 株式会社が,取締役(監査委員を除く。),執行役及び清算人並びにこれらの者であった者を補助するため,責任追及等の訴えに係る訴訟に参加するには,次の者の同意を得なければなりません(会社法849条2項)。

① 監査役設置会社 監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては,各監査役)

② 委員会設置会社 各監査委員

 会社が取締役に補助参加することによって,会社の人的物的援助により,取締役の主張立証を手助けすることができます。

 

4 和解

 会社が当事者となった場合に,会社は被告取締役と和解することで訴訟を終了させることができます。この場合に,取締役の責任免除要件である総株主の同意は必要とされていません(会社法850条4項)。

また,原告株主と被告取締役が和解することによって,株主代表訴訟を終了させることもできます。この場合,裁判所は,株式会社に対し,和解の内容を通知し,かつ,当該和解に異議があるときは2週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければなりません(会社法850条2項)。株式会社が前項の期間内に書面により異議を述べなかったときは,同項の規定による通知の内容で株主が和解をすることを承認したものとみなされます(会社法850条3項)。

 

5 株主間の株式の取得

 原告株主の株式を取得することによって代表訴訟を終了させる場合があり得ます。会社が株式を買い取ることは利益供与に当たるので許されず,株主間で株式を売買するのです。支配株主にとっては,好ましくない株主を排除することができます。

 

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