対象となる家族は、配偶者、子、本人の父母などに区分されていて、その範囲や金額はそれぞれ異なっているのが通例です。例えば、被扶養者となる配偶者の範囲は、所得税の控除対象配偶者の限度額内だったり、子については、18歳未満の者又は大学卒業までの者に限ったりというようなケースを多く見受けられます。
しかし、この家族手当。実は存亡の危機に瀕しているのです。従来は企業において社員の生計費を担う重要な役割を果たしてきたわけですが、手当の統廃合という観点からするといつも最初に槍玉に挙げられてしまいます。
その理由は大きく2つに分けられます。その一つとして若いサラリーマンを中心に、ライフスタイルや仕事や結婚に対する意識に変化が生じてきていることがいえます。女性の社会進出によって「女性は専業主婦で被扶養者」という固定観念が時代にマッチしなくなったり、晩婚化によって男女ともにシングル層が拡大してきているなど、このような社会的背景から、家族手当そのものの必要性が乏しくなってきているのです。
もう一つは、そもそも労働基準法第11条で定められている賃金の定義は「労働の対償」として受け取るものとされているわけですが、更に昨今の成果主義の台頭によってより強くそのことが意識されるようになり、生活保護的な性格である家族手当はもはや不要であるとの考え方が大勢的となっていることです。
家族手当はだいぶ肩身が狭い思いをしているわけですね。