- 海田 修平
- カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
地価の高い都市部の場合、多くの住宅は狭い敷地に建てられ、
1階には駐車場、2階と3階に居室が設けられる構成となっています。
個人で買えるような土地はどうしても小さくなってしまうからです。
土地が狭いので、建物は上に積み上げるしかなくなります。
そうなると、どうしても上下導線の階段が必要となり、その分居室の面積は小さくなってしまいます。
このような家は長期的に見ると非常に住みにくいと言わざるをえません。
住人が歳を重ねた時、階段の上り下りが確実に難しくなるからです。
近年ではホームエレベーターを設置するケースが増えてきましたが、
面積的に余裕がない場合、設置は難しいでしょう。
ところが、都市部だけではなく、地価の安い地方でもなぜか住宅の多くは2階建てです。
1970年代の分譲住宅には平屋が多かったように思いますが、
高度成長期を経て住宅はどんどん大きくなっていったように思います。
大きな家を建てることが立派な男であるという考え方が、
住宅を広く大きくしてきたのかもしれませんが、
同時に、肥大化した住宅が家族それぞれを遠ざけしまうという問題を生み出したのも事実です。
そう考えると、現代の地方において住宅を無理に2階建てにする必要はないと思います。
土地の一角に家を建てて、残りを庭や畑として利用したいというなら別ですが、
そうでなければ平屋で十分だと思います。
平屋には前時代的なイメージがあって、2階建ての方が大きくて立派に見えるからか、
住宅メーカーが作り出すイメージは必ず2階建てで、住宅=2階建てという先入観を作り出しています。
しかし、実は平屋の方が基礎と屋根、それに外壁が広くなる分2階建てよりも割高になります。
地味なところにお金がかかっていることが贅沢であるという価値観を変える必要があると思います。
平屋には上下の移動がないので、将来的に不安に感じることもありません。
地方である程度の土地があるなら、家族みんなに目が行き届き、
家族の気配を感じながら生活できる平屋が絶対におすすめです。
このコラムに類似したコラム
【地震“とか”にメチャクチャ強い家って?】 須永 豪 - 建築家(2015/12/10 11:09)
東大和市の住宅 1年後 志田 茂 - 建築家(2013/10/19 18:44)
『専業主婦論』と共働きの家(前) 志田 茂 - 建築家(2013/05/24 11:10)
家作りを成功させる秘訣 キーワードを考える(1) 志田 茂 - 建築家(2013/05/22 18:00)
竣工体感会レポート2~先輩・建て主さん~ 山道 勉 - 建築家(2011/09/30 14:00)