- 海田 修平
- カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
都市部の住宅の場合、土地が狭いことが多いので建物はどうしても2階建て、
または3階建てとなってしまいます。そういった場合必ず登場するのが階段です。
階段の寸法は蹴上げ(一段の高さ)と踏面(一段の奥行き)そして幅によって決まります。
階段のそれぞれの寸法の限界は建築基準法によって決められていますが、
あまりにぎりぎりの寸法にすると上り下りがしにくくなります。
私の場合、階段の蹴上げはおよそ20±1センチ、踏面は24±1センチが適正寸法だと考えています。
もちろん、外部の場合だともうすこしゆったり作ることもありますし、
集合住宅で面積が厳しい時は基準法ギリギリの寸法にすることもありますので、
正しい寸法というのはないと思いますが、上り下りに違和感のない寸法が適正寸法だと考えています。
階段には適正な寸法というのがありますので、いくら小さい住宅だろうが、
面積に比例して階段を小さくすることはできません。
小さい住宅であればあるほど、相対的に階段の割合が増えていくことになります。
狭小住宅の場合、どうしても階段を無駄と考えがちだと思いますが、
家の中でかなりのボリュームを占める階段を、単なる上下導線として考えるのではなく、
空間を演出できる場所だと考えると、階段は住宅の見せ場となります。
踏み板はどういう素材にするのか、ササラ(踏み板を固定する材)や手すりはどういう形にするのか、
どのような照明にするのか、を丁寧に考えることで階段は魅力的になります。
また、階段をオブジェとしてとらえるだけではなく、収納として有効に活用することもできます。
日本の伝統的なものに階段簞笥というのがありますが、このアイデアは現在の住宅にも十分魅力的です。
階段は上り下りの際に人の視線が垂直に移動するので、平面的な移動よりもダイナミックで楽しいはずです。
毎日の上り下りが楽しくなるような、魅力的な階段をつくることが、住宅の魅力につながるのです。
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