五感を通して家は心を育む/真面目に遊ぶ 10 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

東島 鋭
一級建築士事務所 東島鋭建築設計工房 
大阪府
建築家

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対象:住宅設計・構造

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五感を通して家は心を育む/真面目に遊ぶ 10

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子どもと接することは親にとって肉体的にも精神的にも

ハードワークなので心にゆとりが必要です。

ではゆとりを得るにはどうしたらよいのでしょうか。

日々の生活の中に様々な遊びをつくることが、

ゆとりを生む効果的な方法です。

 

ここでいう遊びとは、

戯れるという意味だけでなく、曖昧さ、幅、という意味合いを含みます。

あるものを達成しようとする時、

無駄を省き必要と考えられるものだけ取り入れ

最短距離で目標へと到達しようとします。

家づくりに当てはめて言えば、

やすらぎや癒しの場として家を考えることなく、

設備機器や内装材選びといった「モノ」にだけ傾注してしまうことです。

この中に遊びは存在しません。

 

遊びの無い生活はぎすぎすし乾いたものになってしまいます。

そのような環境下では健康な心を育むことは難しいと思います。

無駄に思えるもの、不便なもの、不揃いなもの、

遊びはそんな中に存在し、そして、

人の心はいつも遊びを必要としています。

遊びがゆとりを生み、

ゆとりが日々の生活を豊かにします。

 

日々の生活の中で心のために出来ることを考えていますか。

無意識、無自覚になっていませんか。

家に遊びが無ければ

→心は癒されない。心は育たない。揺れることを忘れ鈍化する。

→心を使うことなく簡単に刺激(快感)を得られるもの(テレビ、ゲーム...)にのめりこむ。

→それらは一時的に感情の穴を埋めたように思わすことはあっても、心をケアすることはない。

→心の中に歪みが生まれる。自分でも気が付かないうちに。

数年、何十年と長い月日をかけ歪みは様々なものに形を変え私たちの前に現れます。

 

遊びとは、

家の中に単にブランコや滑り台やジャングルジムを

設けることではありません。

子どもたちは、与えられた遊び場にはすぐに飽きてしまいます。

子どもがワクワクするのは、

大抵、大人が思う居心地の良い場ではなく

少々危険な場だったり、暗がりや隅っこだったり。

自然界に直線なんか、真っ平らなところなんか

存在しないことを子どもたちの心は知っています。

日常の中に遊びや楽しみを創り出すことは子どもにとっては朝飯前です。

その能力の前では大人は足元にも及びません。

 

遊びは良い流れを生みます。

家が遊びの空間を持つと心が開放されます。親が子どもに自由を与えます。

→子どもが楽しみを生みます。

→親も楽しくなります。家に生命感が満ちます。

→そんな親を見て子どもは楽しくなりもっと自由になります。

→子どもが新たな楽しみを生みます。

日常の中で心が満たされていると人は優しく強くなれます。

 

それでも人は、

利便性を快適性を求め続けます。

それは何のためですか?

それは誰のためですか?

 

手始めに、

「より美味しくごはんが食べれる」

「より安心して眠れる」

家について考えてみてください。

 

皆さんと一緒になって、

子と親、家族と家、人と空間について考えていくことが、

社会を明るくすることのできる光の種を育むのだと思います。

 

(完)

 

 

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