洋菓子の材料 part3 卵の役割 - 洋菓子・和菓子 - 専門家プロファイル

廣瀬 ちえ
CHIE'S KITCHEN 代表
愛知県
料理講師

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閲覧数順 2024年04月27日更新

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洋菓子の材料 part3 卵の役割

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洋菓子の材料 part3・卵の役割について

 

●お菓子作りにおける「卵」の役割

お菓子作りをしたことがある方なら誰しも、ケーキをオーブンに入れて待つ時に「上手に膨らむかな?」とワクワクした気持ちになるものです。ケーキがふんわりと膨らむのに重要なのが、卵の泡立てです。

更に、卵はお菓子の風味を作り出す上でも重要な役割を持っています。卵黄のコクのある風味や、加熱によって焼き色とともに生まれる香ばしい香りは、おいしさを増してくれます。

今回はお菓子作りには欠かせない「卵」について学んでいきましょう。

 

●卵はどうして泡立つの?

卵白は「気泡性」という泡立ちやすい性質と、「気泡の安定性」という泡立った気泡をそのままの形で保つことができる性質の2つを合わせ持っています。

 

<気泡性>

普通の水はいくら撹拌しても泡立つことはありません。しかしこれに石鹸を溶かして撹拌すると、空気を抱え込んで泡立ちます。これは、石鹸が水の表面張力を弱くし、泡立ちを良くする作用を持っているからです。卵白の中に含まれているたんぱく質も、表面張力を弱くする作用を持つため、卵白を泡立てると徐々に空気を抱え込んで泡立つのです。

 

<泡の安定性>

石鹸水は泡立つ力は強いのですが、その泡を保持する力は弱いのです。しかし卵白はしっかりとした弾力で泡立ちます。これは卵白の中に、空気に触れると変性を起こして膜状に硬くなるたんぱく質が含まれているからです。このたんぱく質の作用によって気泡が安定し、きめ細かくしっかりとしたメレンゲ状になります。

 

<気泡の安定性と砂糖の関係>

卵白だけを泡立てると早く大きな泡立つのですが、安定性が悪く気泡が壊れやすくなります。かと言って最初に砂糖を多く加えても上手に泡立ちません。これは、砂糖には卵白のたんぱく質の空気変性を抑える性質があるためです。また、完全に泡立ててから多量の砂糖を加えると、せっかくの気泡が潰れてしまいます。上手に泡立てるため、砂糖は2~3回に分けて加えながら行います。

 

<卵の鮮度と卵白の泡立て>

卵白には、ドロッとしていて粘りの強い濃厚卵白と、さらっと液状の水様卵白の2種類があります。卵の鮮度が良いほど濃厚卵白が多く、粘りが強いため気泡の安定性が高まり、硬く壊れにくい気泡が得られます。反対に、卵の鮮度が落ちると濃厚卵白が減少します。濃厚淡白の量が減ると表面張力が弱まり、泡立ちやすくなります。その反面、卵白にコシがないため、気泡の安定性はあまり良くないものになります。

 

また、卵は天然の乳化剤の役割も果たしています。卵黄は固形分の約64%が脂質からできていますが、そのうちの約1/4は「レシチン」と呼ばれる特殊な脂質で占められています。この「レシチン」は、水と油を上手くつなぎ合わせ、乳化状態にします。卵黄を加えた生地は、バターなどの油脂と卵白などの水分が分離せずに、上手に混じり合います。

 

洋菓子における卵の役割を理解すると、お菓子作りが更に上達します。卵の特性を生かし、スイーツ作りを楽しんでくださいね!

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