- 松脇 美千江
- ベストライフ・コーチング 代表
- 熊本県
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
「聴く」ということに関して、今でもとても心に残っている
エピソードがあります。
それは、鈴木義幸さんの『ほめる技術』に掲載されている
お話です。
簡単に要約すると、次のようになります。
「鈴木さんが女子刑務所でカウセリングをすることになった。
出会った女性は、今までの父親からの虐待や、母親の心ない言葉、
夫の暴力などで、“こんなにも人の心は感情でゆがむものか”と
思える表情をしていた。
南部なまりの強い英語だったので、鈴木さんはひたすら聴いて、
“そうだったのですね。”と受けとめて、うなづくしかなかった。
15回目のセッションが終わり、日本に帰国することになった。
彼女からもらった手紙にはこう書いてあった。
“あなたは、私を一人の人間としてカウントしてくれました。
ありがとう。“ 」
彼女にとって一人の人間として扱かってくれたのは、
鈴木さんが初めてだったのかもしれません。
鈴木さんが、彼女の言葉のどんなひとつも聴き逃すまいという想いで
ひたすら聴いていた風景。
自分の話を、初めて本当に聴いてくれる人が目の前に現れ、
受け入れられている安心感を感じながら、
過去のつらい出来事を少しずつ話す女性の心境。
そして、別れの時に、鈴木さんが心から聴いてくれた
ことに感謝し、手紙を綴った彼女の気持ち。
このエピソードを思い出す度に、聴くということが
人に存在の承認を与える、なんて素晴らしいことなんだと思わされます。
おざなりに「聞く=hear 聞こえてくるのをただ聞く」のではなく、
「聴く=listen 耳を傾け、言葉以上のものを聴きとる」ことで、
いろんな心の変化を、話す人にも、聴いている人にも
与えることを、この話は思い出させてくれます。
彼女は、鈴木さんが話を聴いてくれたことで、希望を持て、
生きてみようと思えたのではないでしょうか。
初心に戻る
コーチとして、「聴く」がちゃんとできているか
自分を無にできているか
ときどき自分を振り返っています。
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