- 釜口 博
- BYSプランニング ファイナンシャルプランナー
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対象:生命保険・医療保険
ファイナンシャルプランナーが天職!
BYSプランニングの釜口です。
年金型の生命保険の受け取り方に影響を与える判決が、先日下されました。
この判決を受けて、今後、年金型の生命保険の受け取り方をどうしていけば良いのかを検証してみたいと思います。
なんと、国が敗訴しました。
亡夫が加入していた年金払い型の生命保険に相続税と所得税の両方を課すのは違法として、勇気ある長崎市の女性(49)が所得税
の課税処分取り消しを求めた訴訟で、裁判長は7月6日、「違法な二重課税に当たる」との初判断を示し、原告の請求を認める判決をしました。
大手生保1社当たり毎年数千人の遺族が所得税を徴収されているとされ、国側の逆転敗訴が確定したことで、還付請求の動きが広がるなど大きな影響を与えそうな予感です。
どんな保険が今回問題になったのかと言いますと、ご主人が死亡した時に、月々○○万円だとか、年間○○○万円というような保険金を受け取ることができる保険商品。
死亡保険金がおろされるということは、相続が発生します。
基本的には、死亡保険金は相続財産となりますので、相続税の課税対象です。
では年金型生命保険では、どの金額が相続税の課税対象かと言いますと、一括で保険金を受け取った場合の保険金額になります。
少し専門的になるのですが、ご主人に万が一があった場合に月額や年額で受け取る保険も、一括で保険金を受け取ることもできるのです。
しかし一括で保険金を受け取ると、総受け取り保険金額は月々や年額で受け取るよりも低くなります。
保険会社は、契約者から受け取る保険料で運用していますから、一括で保険金を支払うよりも、分割で支払う方が運用益を稼ぐことができます。
クレジットカードの支払いを一括にするよりも、分割払いで、その月に支払う金額が少ない方が楽ですよね。
支払う側にとっては、クレジットカードの分割払いと同じように、支払いが先送りできる方が楽なのといっしょの原理です。
クレジットカードの分割払いの方が、総支払額が多くなるのと同じ原理で、年金型の生命保険は分割で保険金を支払うので、保険金総額はたくさん支払いますという保険です。
ここからが、今回の裁判での争点です。
年金型の保険は、受取人が月々や年額で保険金を受け取るので、受取人の所得として見なすというのが国税の見解。
今回の裁判では、すでに相続税を課税しているので、年金額について、所得税を課税するのは違法としました。
私がお子さんをお持ちの世帯主によくご提案する保険として、「収入保障保険(保険会社によれば、家計保障保険、家族収入保険などの名称もあり)」という保険がありますが、この保険は、まさしく今回の裁判で争点になった保険と同類です。
約款でこの課税方法のご説明させていただく際に、奥様の所得が多い場合は、所得税が高くなるので、月々受取ではなく一括で保険金を受け取ることも選択肢の一つですとお話していました。
今回の判決で、年金形式で受け取る保険金のうち、1年目の年金額については、課税されないとし、2年目以降については、まだ判決を下していません。
世帯主に万が一があるというのは、あってはいけないことだと思いますが、年金型の保険を遺族の方が受け取る場合、今後は、1年目は年金形式で受け取っておいて、2年目に入った段階で一括受け取りにするというのがベターな選択になりそうですね。
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