昨日、公開講座で「メンタルヘルス研修(ラインケア)」(1日コース)を開催しました。参加されました皆さんは、とても意識が高い方ばかりで、講義を聞く姿勢も真剣そのものでした。1日の研修の中で特に質問が集中したところが「新型うつ」のパートです。やはり、身近な問題になっているものと推察されます。
メディアからの私への問い合わせもやはり「新型うつ」に関してのものが増えています。例えば、5月にはNHKのディレクターの方から、6月には日経新聞社の記者の方からも問い合わせがありました。共に「新型うつについて教えて欲しい」、「新型うつについて話が聞きたい」という内容でした。
何故、「新型うつ」がフォーカスされるかというと、勿論今までの典型的なうつの症状とかなり異なった特徴を持っていることで、対応に苦慮していることは大きいと思います。しかし、もう一つの要因として職場復帰ができないケースが圧倒的に多いことが挙げられるのではないかと思います。
私が見聞きした周りの状況では、「新型うつ」と推察される社員が、休職期間を終えてもほとんど復帰できていないケースが圧倒的です。3割程度が、休職期間が延びて復帰できないケース。また3割程度が、復帰をしても直ぐに再燃・再発して休職を繰り返しているケース。残りの3割程度が、休職中・休職後、退職に至ったケース。
今までの典型的なうつ症状をもつ30歳代~40歳代の社員では、ここまで復帰率が悪くありません。
しかし、ある企業では、今年に入って休職に入る前と復帰前後に私が復帰支援(教育的なアプローチとカウンセリングなど)を行った、5例についてはすべて順調に職場復帰を果たして今も元気に通勤しています。しかし、同じ会社で今までどおりの対応をしていた5例については、すべて職場復帰を果たしておりません。今までどおりの対応とは、単に外部の医療機関を受診し、服薬し、休職し、症状がなくなって復帰するというやり方です。その多くが、復帰日に近づくと決まって不安が募り、症状が再燃しているケースが多いのです。
若年層の「新型うつ」と思われる社員を職場復帰させるためには、しなくてはならない事があります。
それは、医学的なアプローチだけではなく、キャリアデザイン的なアプローチと、SST(ソーシャルスキルトレーニング)的なアプローチ、環境調整(仕事、人間関係等)などのアプローチが欠かせません。そして、それを自ら受け入れられることと気づきが得られるようにカウンセリング的なアプローチが大切になります。
それをやっているのかやっていないのかで明暗が分かれると思います。対処・対応ではなく、教育なのです。本気になって関わっている人間が一人でもいるのか。一人でもいれば、目の前の若者は、また人生に希望を持って歩みだすことができるのです。
このコラムの執筆専門家
- 見波 利幸
- (東京都 / 主席研究員)
- 主席研究員
感動を伴う研修こそが、効果のある結果が出る研修です
人は必ず成長します。感動する事で心を開き、自分を見つめるからこそ「気づき」が生まれます。人は「気づき」さえ生まれれば、もう既に80%は変わっています。更に、「やって行きたい」という気持ちが加わる事で、真の行動変容が可能となります。
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