映画「31年目の夫婦げんか」鑑賞。

先日、この夏話題になっていた映画「31年目の夫婦げんか」を鑑賞してきました。

タイトルのとおりに夫婦げんかのお話なのですが…実にリアルで繊細な夫婦の関係が表現されていました。見終わった後に、後ろの方で「これ、みんなそうだよねー」という若い女性達の声が聞こえてきたほど。

結婚31年目の夫婦。子供は独立して家を出て、二人暮らし。

少ない会話、別々のベッドルーム、毎日同じ生活の繰り返しでいつのまにか結婚生活に冷めていた二人が、

関係を修復しようと高額の夫婦セラピーを受けに行くというストーリーです。

ありきたりな映画？と思われるかもしれません。

が、なんと妻役はマーガレット・サッチャーを演じたメリル・ストリープ。夫役はBOSSのCMでおなじみのトミー・リー・ジョーンズ。

ずいぶんなビッグキャストでした。

緊張して夫の寝室のドアをたたく妻。「セックスがしたいの。」と。

突然の事に驚き、誘いを断る夫。「今日は体調が悪いんだ。昼にポークを食べたから。」

そんな会話から物語は始まって、妻のやりきれない想いが表面に出てくるのです。

「もう一度幸せを感じたい！」「あの頃のように愛されたい！」

という気持ちで、妻は幸せな結婚生活のノウハウ本を購入し、それを書いたセラピストのサイトを検索。

高額な夫婦セラピーに夫に内緒で申し込みます。

それを聞いた夫は、まったく意味が不明。

なんで妻はそんなことをしたのか、なんで夫婦セラピーが必要なのか。

二人の結婚生活はなんの問題もないのに！

面白いのは、結婚生活に対する妻と夫の捉え方が全く別ものであるというところでした。

インタビューで妻（メリル・ストリープ）が語っていますが、

「女性は元来人間関係のことを考えるのが好き。夫婦問題とかを。でも男性はそんなことに興味がない。」

妻は、いつまでたっても夫婦は新婚のようであってほしいし、夫に触れてほしいし、愛する女性として見てほしい。

夫の言い分としては、「浮気もしないで、毎日ちゃんと家に帰って、仕事も真面目にしてきたのに、どうして不満があるんだ！

それが幸せってもんじゃないのか？セラピーなんかくだらない、馬鹿らしい、お金の無駄だ！」

といった具合です。二人の考え方はまったく別のものですよね。

いろんな方のレビューを読ませてもらいましたが、女性目線の内容と言われつつも夫婦一緒に観に行く事をお勧めしている人が多かったです。

また、男性の方のレビューが興味深く、共感を寄せながら観た方も多くいらっしゃいました。

夫（トミー・リー・ジョーンズ）のどこにでもいるような、普通のおとうさんっぷりがよかったのでしょうか。笑

さて、そんな夫が渋々ながら始まった夫婦セラピーですが、それはもう、二人にとってとても苦しいものでした…

それもそのはず。長い時間を経ていつのまにかできてしまった心の壁は、そう簡単に壊すことなんでできなかったのです。

初めはなんとか課題を乗り越えていた二人も、やがては大きな壁にぶち当たってしまいました。

アメリカの映画には日本とは違ってよくセラピーとかカウンセリングシーンが出てきますよね。

だからと言って、みんなセラピーを受けることに慣れているわけではないんだなと思いました。

夫のセラピーに対する拒否感はとても強く、ほぼ最後まで拒否していました。

恥じらい、プライドを捨てながらも、セラピストの質問に答えていく夫婦。

初めのうちは言葉にならなくても、ちょっとずつ自分の想いのうちを相手にぶつけられるようになってきた二人。

泣いたり、怒ったり、感情をぶつけあったり、ときには一人になって考えたりしながら、少しづつ何かが変わっていくことを願って…

いよいよもうダメなんじゃないかな…という雰囲気が漂ったとき、カウンセラーが夫に問いかけるのです。

「あなたは全力を尽くしていますか？」

その言葉に、なんだか私までぐっときてしまいました。

基本はコメディーだというこの映画、最後はしっかりと心温まるストーリーです。

セラピーのシーンが多く、最初から最後まで夫婦の関係にしっかりと焦点をあてて、リアルな感情や反応を捉えています。

今の夫婦関係を見直すことのできる、満足のいく、いい作品でした！

http://www.youtube.com/watch?v=pvJ_ZlLl04M&feature=player_embedded 　（予告編）

http://www.youtube.com/watch?v=Qiplo0adlUI （インタビュー編）

メディカルコンシェルジュ　清水