IMFの提言と消費税増税と日本の財政破綻の可能性 - リスクマネジメント・個人情報 - 専門家プロファイル

今林 浩一郎
今林国際法務行政書士事務所 代表者
東京都
行政書士

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対象:企業法務

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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IMFの提言と消費税増税と日本の財政破綻の可能性

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リーマンショックで世界経済が崩壊し始めて以来、世界中の国が安全資産として円を購入してきました。ドバイショック、ギリシャ信用不安、欧州金融不安と金融不安が再燃する度に、世界の諸国は円買いに走りました。しかしながら、日本及びその通貨である円には、金融危機の時に避難所となるほどの安全性と信用力があるのでしょうか?

 

ところで、平成22年度予算政府案一般会計歳入歳出概算によれば、歳入概算額の合計は92兆2,992億円であり、そのうち租税及び印紙収入の概算は37兆3,960億円、その他収入の概算は10兆6,002円で合計47兆9962円、それに公債金が44兆3,030億円です。すなわち、予算総額の約48%は借金に依存しています。これは520万円の年収のサラリーマンが毎年480万円を借金しているのに匹敵します(財務省ホームページ参照)。

 

一方、現在、国の借金は総額約870兆円あると言われています。すなわち、収入が概算で約48兆円の国が総額約870兆円の借金を負っている訳です。これは年収入の約18倍であり、年収520万円のサラリーマンが9425万円を借金しているのに匹敵します。この場合、仮に520万円の年収のサラリーマンが毎年年収の半額の260万円を返済したとすると、完済するのに36年以上かかり、もし毎年年収の4分の1の130万円を返済したとすると、72年以上かかります。利息を算入すればもっと負担は大きくなります。仮に9425万円に対して年1.5%の利息が生じるとすると、年発生利息は141万円になり、520-141=379万円を返済に回せることになります。このうちの半分を返済に回せば、9425÷189.5=約50年間、4分の1を返済に回せば、9425÷94.75=99.47で完済に約100年もかかり、事実上完済不可能な額です(http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan003.pdf)。

 

そして、よく言われるのが、国債の保有者の97%は日本国籍者であり、これが日本国債の安定性の理由として誇張されます。しかしながら、国債の保有者の99%が日本国籍者であるということは、この金融国際化の時代に債務を支える基盤及び資金源も日本一国に限定されており、それ以上に拡大する可能性がないということを意味します。また、2010年度末における国債発行残高見込みは約637兆円であり(2009年12月25日朝日新聞)、仮に1.5%の利息を支払うとすると、10兆円以上の利息支払義務が生じます。すなわち、収入概算が48兆円及び公債金44兆円で10兆円の利息返済義務がある訳です。国家収入概算が48兆円で返済利息額が10兆円であれば、実際に利用できる総額は38兆円ということになります。

  

同時に、自民党の福田内閣、阿部内閣及び麻生内閣、民主党の鳩山内閣及び管内閣と2008年9月26日に福田内閣が成立してから現在までの2年未満の間に5名の内閣総理大臣が擁立され、日本は政治的にも極めて不安定です。こんな借金まみれの自転車操業で政治的に不安定な国家の安全性や信用力が高いはずがありません。ですから、円高には日本の安全性や信用力以外にも何か理由があるはずです。

 

そこで、考えられるのが、円高により米国やEUの貿易収支を改善することにより景気の浮揚を図り、不景気を脱出するために日本の経済に負担を転嫁されているのではないかということです。ところで、JETRO(日本貿易振興機構)の2008年の貿易収支統計によれば、日本とNAFTA(米国、カナダ及びメキシコ)の間の輸入総額は、2745億1千万USドル、日本とEU(25カ国)の間の輸入総額は、4129億2千万USドルでした。一方、日本とNAFTA(米国、カナダ及びメキシコ)の間の輸出総額は、5514億7千万USドル、日本とEU(25カ国)の間の輸出総額は、3679億7千万USドルでした。したがって、日本の欧米との貿易は大幅に輸出超過の黒字であり、円高になればなるほど欧米の貿易収支は黒字に傾き景気浮揚効果が生じるのに対し、日本の貿易収支は赤字に傾き景気低迷効果が生じることになると考えられます。そこで、欧米の金融不安再燃の度に円高になるのは、金融危機の時に避難所となるほどの安全性と信用力があるからではなく、むしろ金融不安再燃による景気低迷効果を日本に転嫁することに意義があるのではないかと思われます。

 

ところで、現在、参議院選挙を前にして消費税率の上乗せの適否についての議論が各政党間において活発になっています。民主党は消費税率を10%に上げることを主張していますが、自民党を除いた各野党は、消費税率の上乗せには否定的であり、消費税議論よりも先に政府の無駄を省くべきだと主張します。しかしながら、これらの野党は、日本の財政再建の緊急性を理解しているのかと問いたくなります。むしろ、これらの野党は、税負担の増加を嫌気する一般国民の人気取りに奔走しているように思えます。問題は、日本の財政再建の緊急性を考えれば、政府財政の無駄削減と同時に消費税率上乗せも活発に議論していかなければ間に合わないのではないかということです。

 

実際、国際通貨基金(IMF)は、7月14日、日本経済に関する年次審査報告を発表しました。その中で、「先進国で最悪の財政状況の改善へ2011年度から消費税の段階的引き上げを含む財政健全化策の開始が必要との分析」を明らかにしました。さらに、「税率を15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%の歳入増が生じると具体的税率を提示し、日本の財政健全化の必要性」を強調しました(7月15日付時事通信)。すなわち、IMFの提言を真摯に受け止めなければ、日本の財政破綻も現実のものとなるように思われます。

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