- 吉田 但
- キャリアウィング 代表取締役 * キャリア・コンサルタント
- キャリアカウンセラー
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
■資格の有無をどう考えるか
厚生労働省指定の資格(民間・国家)は、一定のメソッドに対するキャリア形成支援のスキルについて、一定のガイドラインを超えた能力があると担保されているものと考えられます。
他方、厚生労働省指定外の民間資格については、資格発行団体(母体行)の経営概要を勘案する中で判断を行うことが、正しい見方に繋がるのではないかと思います。
完全に私見ながら、資格保有の有無が実際のキャリア形成支援の実施支援効果にどれ程までにイコールの関係性があるかは、厚生労働省指定の資格内容をはじめとして、多くの対人支援者の方々を見てきたなかで、正直、微妙な部分もあると感じています。
結してこれは、有資格者の方々の否定をするものではなく、厚生労働省指定の資格を取りたくても、地域的に講座の実施を行うところが無いケースも多々ありますし、厚生労働省指定外であっても、教育業界のなかでスクール・カウンセラー的な「専門」要素を強めて実施されているところもあるがゆえのこととなります。
学生に対する就職活動のキャリア形成支援と、労働人生のリタイヤ直前の方々のキャリア形成支援では、自ずと支援の内容・方法etc.必要な専門性にも違いがあるであろうことはご理解頂けるかと思います。
次項で詳細を説明をいたしますが、資格の概要・内容そのものが、キャリア形成支援に対する、浅く・広く網羅的な対応の内容となっており、実際の支援を想定した専門性(知識・技術等)の学びの集積としての資格内容ではないことが最大の理由と考えられます。
これゆえ、あくまでも現在の実態で云うならば、資格の保有有無と実際の支援効果については、残念ながら違いがあるとお伝え出来るかと思います(今後は、支援内容に応じた、専門性に特化したメソッドが開発されていくと思われます)。
■資格有無より、専門性の有無に着目
しかしこれでは、資格保有の有無で優秀なキャリア形成の支援者が決められないとするならば、「一体どうすれば、見極めが出来るの?」と疑問が浮かぶかと思います。
ちょっとお話しが反れるかも知れませんが、医療(=キャリア形成:資格内容)・医師(対人支援者)とした参考例で説明します。
医療行為を行う者は、国に認められた資格が必要となります。
私達が身体を壊した時に病院に行くと思いますが、歯が痛いのに外科に行く人もいないでしょうし、外傷を負って怪我をしているのに耳鼻科に行くこともなく、ある程度の身体状況を踏まえた専門科を尋ねることが普通でしょう。
医者(医療従事者)は、全ての病に万能に対応出来る存在ではありません。
医療・医者と云うモノを学んだとしても、医療行為を行う時には、その「専門性」が問われることになります。
キャリア形成支援においても同じことが言えます。
先述の通り、キャリア形成支援者においては資格が無くても、対人支援者として従事することが出来ます。
資格の保有は、医者の例で云う所の「医療全体」を学んだだけの状態に等しく、学生・ニート/フリーター・女性(未婚・既婚)・再就職・リタイア・組織内キャリア形成等々のような、諸状況に応じた専門性の学び~資格保有となっている訳ではありません。
つまり、医者・医療行為に専門性が必至なように、実際のキャリア形成支援の実施の際にも「専門性の保有状況」がどうなのかが、キャリア・コンサルタントを選ぶ(支援効果を考える)上では、必要なことになってくることが、ご理解頂けるかと思います。
資格の保有は、キャリア・コンサルタント選びのひとつの目安としても、ご自身の問題に対する専門性(経験的な類似点を含む)を持っているかどうかを選択肢の条件として持つことで、支援効果を期待できるミスマッチの少ない選択に繋がるかと思います。
■補足付記(注意)
カウンセリングには、色々な対応方法・種類があります。
「全ての答えは、あなた自身のなかにある」との基本スタンスに基づくことから、カウンセラー側が何かの答えを導いたり・指示をしたりするモノではなく、自分自身の内面を見つめ、自己決定を援助・支援することが、カウンセラーの基本的なスタンスとなるといえます。
特に心理系のカウンセラーの方は、各種のカウンセリング理論に基づき、何かの専門性を持たずとも、自己内省を深めるためにカウンセリング・スキルを伸ばすことにより、対応効果を上げられると考えられている方々も多くいらっしゃいます。
が、キャリア・カウンセリングの現場においては、心の問題・解決だけではなく、現実的な問題解決のための職業マッチングや問題への具体的な解決方法の事例提示・気付きを促すための参考情報の提示・各種ガイダンスの実施tec.
現実的な問題解決案を求めらるケースが非常に多いことから、支援内容の概要に対する専門性を持ち合わせていることが、支援効果に有効性を持つとの私見判断によるものであることを補足として付記します。
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