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山中 伸枝
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閲覧数順 2016年12月03日更新

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「配当金計算書」や「収益分配金のご案内」は捨てない

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証券税制
3月決算の上場会社の株主総会が終了し、株主には配当が指定銀行口座へ振込まれたり、郵便局で現金と引換える「配当金領収書」が送られてきたと思います。
「配当金領収書」だけ抜き取って、後はそのままゴミ箱へという方も多いかもしれませんが、その封筒の中には「期末配当金計算書(兼「支払通知書」)」という確定申告に必要な書類も入っているのです。

平成21年から上場株式等の配当と公募株式投資信託の収益分配金の普通分配金に関する税制が変わりました。
http://www.osp-g.com/img/tousisintaku/21tax.pdf

上場株式等の配当と公募株式投資信託の収益分配金は、まずその10%が源泉徴収されます。そして20年までは以下の1か2の選択であったわけですが、21年からは3が加わって1、2、3の選択になりました。

1 確定申告しない(申告不要)
   10%が源泉徴収されて課税は終了です。投資家は何もする必要はありません。
   しかし、ご自身の所得税+住民税の実効税率が10%未満の方にとっては、税金を払いすぎということになります。

2 確定申告して、総合課税の配当所得を選択する
   総合課税ですので他の所得と合算して税金を計算します。総合課税は累進税率ですので所得が高ければ10%の源泉徴収分だけでは足りずに追加納税が必要ですが、所得が低ければ10%の源泉徴収は取られすぎですのでその分が還付されます。
   また、J−REITや下記のCの公募株式投資信託には配当控除はありませんが、それ以外の上場株式等や公募株式投資信託には配当控除の適用があります。
   ただし、総合課税で確定申告するとその配当所得は「総所得」や「合計所得」に含まれますので、国民健康保険料、後期高齢者医療制度保険料、介護保険料等が上がったり、配偶者控除等の所得制限にひっかかったりする場合があることには注意です。

上場株式の配当、株式投資信託の期中収益分配金の普通分配金の個人の源泉徴収税率は10%
 16年1月〜 所得税7%+住民税3%=10%
 
19年からの所得税率と住民税率は
   課税所得    所得税率 住民税率  合計   控除額
         0円以下   0%    0% 0% 0円
  0円超〜195万円以下   5%   10% 15%     0円
195万円超〜330万円以下  10%   10%   20%   97,500円
330万円超〜695万円以下  20%   10% 30%  427,500円
695万円超〜900万円以下  23%   10% 33%  636,000円
900万円超〜1,800万円以下 33%   10% 43% 1,536,000円
1,800万円超        40%   10% 50% 2,796,000円

配当控除後の実効税率は、「所得税率−配当控除率」+「住民税率−配当控除率」

株式の配当の配当控除率(税額控除) 所得税10%、住民税2.8%(注)
株式投資信託の期中収益分配金の普通分配金の配当控除率(注)
       非株式割合50%以下     50%超75%以下       75%超
外貨建資産割合75%超 C適用無し     C適用無し       C適用無し
   50%超75%以下 B所得税2.5%、住民税0.7% B所得税2.5%、住民税0.7% C適用無し
      50%以下 A所得税5.0%、住民税1.4% B所得税2.5%、住民税0.7% C適用無し
(注)課税総所得金額が1,000万円超で、かつ課税総所得金額から配当所得を控除した金額が1,000万円以上の場合は上記の1/2

確定申告を行っって2を選択した場合の上場株式等の配当
     課税所得     実効所得税率 実効住民税率  合計
         0円以下   0%      0%     0%
   0円超〜195万円以下  −5%※    7.2%    2.2%
 195万円超〜330万円以下   0%     7.2%    7.2%
 330万円超〜695万円以下   10%     7.2%    17.2%

確定申告を行って2を選択した場合のAの株式投資信託の期中収益分配金の普通分配金
     課税所得    実効所得税率 実効住民税率 合計
         0円以下   0%      0%   0%
   0円超〜195万円以下   0%     8.6%   8.6%
 195万円超〜330万円以下   5%     8.6%   13.6%

確定申告を行って2を選択した場合のBの株式投資信託の期中収益分配金の普通分配金
     課税所得  実効所得税率 実効住民税率  合計
       0円以下    0%     0%     0%
 0円超〜195万円以下   2.5%    9.3%    11.8%

3 確定申告して、「分離課税の配当所得」(21年からの新設)を選択する
   分離課税ですので他の所得とは関係なく税金を計算します。税率は一律10%です。
   これだけだと1と変わりませんが、「分離課税のプラスの配当所得」と「分離課税のマイナスの上場株式等の譲渡所得=上場株式等の譲渡損失」と通算ができるようになりました。
   上場株式等の譲渡損失には、公募株式投資信託の売却損や償還損も含まれますし、前年から繰越してきた上場株式等の譲渡損失も含まれます。

 例 甲証券で上場株式を売却し、100万円の譲渡損が発生。
   乙銀行で購入した毎月分配型の投資信託の普通分配金が1年間で50万円あった。ただし、実際の入金は源泉徴収後の40万円。
   翌年3月15日までに確定申告し3を選択、またどうせ確定申告するなら一緒に譲渡損失の繰越控除も実行。
   分離課税の配当所得(50万円)+分離課税の上場株式等の譲渡所得(−100万円)=分離課税の配当所得が0に
    →源泉徴収された10万円が還付される。また使い切れなかった残りの上場株式等の譲渡損失50万円は翌年以降3年間繰越可能

この3が選択肢に加わったことにより、初めから確定申告しないと決め付けるのではなく、1年経って損得が確定してから確定申告するかどうか決めるのが良いと
思うのですが、確定申告の添付資料に以下の書類が加わりました。

以下、財務省HP「平成20年租税特別措置法等(金融・証券税制関係)改正」より。括弧内は筆者の補足
(7)上場株式等の配当等に係る配当所得を申告する場合に添付すべき書類
  イ オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書(=「収益分配金のご案内」)
  ロ 上場株式配当等の支払通知書(=「配当金計算書」)
  ハ 特定口座年間取引報告書(特定口座での取引、保有に限る。ただし、実施は平成22年分より。21年分は金融機関のシステムが間にあわない)
   注 上記の添付書類は、申告する上場株式等の配当等の課税方式について、総合課税と申告分離課税のいずれを選択するかに関わらず、確定申告書に添付することが必要です。

「収益分配金のご案内」や「配当金計算書」は原則再発行されません。つまり、12月を終えて1年間の損得が確定して、確定申告したほうが自分にとって有利だから確定申告しようと思っても、「収益分配金のご案内」や「配当金計算書」を捨ててしまった後では、どうしようもないということになるのです。
 多少多めに税金を払ってでも絶対に確定申告したくないというなら捨てても構わないのかもしれませんが、せっかくの優遇税制措置を初めから放棄するのは懸命ではないと考えます。
「収益分配金のご案内」や「配当金計算書」はしっかり保管しておきましょう。

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