少子化対策を重点施策に、経済財政諮問会議 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

少子化対策を重点施策に、経済財政諮問会議

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 会計・経理
  3. 会計・経理全般
税制改正
経済財政諮問会議が19日に続き、21日にも開催された。
今回の会議は提出資料こそ少ないものの、麻生首相から今後の方向性を
確立する発言があり、注目されるところです。

与謝野財務相による会議後の記者会見の要旨(経済財政諮問会議HPより
入手)によると、
「総理からは、これまで高齢者中心の社会保障の問題ばかりに脚光が
当たってきたが、若年子育て世代への支援は、官民問わず国を挙げて
取り組むべき、もう一つの最重要課題である。
若者への投資を拡大し持てる能力を発揮できるよう、また、子育て家庭に
おいて、子育てと就労が両立できるよう、全力を尽くしたい。
そのためには、景気対策に勝るとも劣らぬ大胆さで取り組まなければならない。
関係閣僚もその覚悟で取り組み、基本方針に反映してほしい、とのご発言が
ございました。」
として、高齢者対策に終始してきた感のある社会保障問題の重点を、
少子化対策にシフトしていく方向性を示した。

わが国が将来にもわたって繁栄し続けるためには、最重要課題であったはずの
少子化問題、子育て・教育問題について、前回の会議では、塩谷文科相・
小渕少子化相によるプレゼンを求め、今回の麻生首相の発言に繋がるのだろう。

財政再建のためには、税収の確保は最重要の問題であるが、現役労働人口が
減少し始めれば、必然的に所得税収は減少する。
それだけではなく、地方においては個人住民税収が減少するだけではなく、
社会保障財源である社会保障負担額も当然に減少せざるを得ないんですね。

税収構造を直接税中心主義から消費税をはじめとする間接税中心にシフトする
必然性があるんです。

法人税を強化すれば、グローバル化した企業から日本離れを引き起こし、
その結果として、法人税収の減少だけではなく、わが国の雇用環境の悪化を
招きかねない事態を引き起こす。
生産拠点や本社機能を日本に残す意味がなくなるからです。
所得税の累進構造を強めれば、金持ちほど資産構築を海外に求め、
それどころか、日本国籍を捨ててしまう方さえ出てくることになる。

多くの日本人にとっては、日本で働き、日本で生活し、日本で老後を暮らす
わけですから、わが国の行く末が暗いものになってしまうことは困るんです。

だからこそ、麻生首相がこれからは少子化対策についても最重要課題として
取り組むという姿勢を明確にしたことは、非常に評価できる。

また、岩田、張、三村、吉川、民間4氏の連名による
「安心保障政策の具体化と安定財源の確保に向けて」
においても、少子化対策を重点施策とする傾向が明らかになっている。

その内容は、以下の通りである。

1.安心保障政策の具体化に向けて
(1)中期プログラムの別添工程表の具体化に向けて、機能強化する
社会保障の全体像を国民にわかりやすく提示し、必要となる負担について
国民の納得を得る必要がある。
具体的には、2015年までの医療、介護、少子化対策のサービス整備の
具体案について、税制抜本改革を実施する前に国民に明らかにすべきである。

(2)社会保障の機能強化の基礎インフラである安心保障番号・カードの
導入については、2011年度までに実現すべき。
そのためには、省庁横断的に検討すべきであることから、内閣で責任を
もって検討体制を構築すべきである。

(3)今回の経済危機対策及び関連補正予算においては、工程表に掲げられた
社会保障の機能強化の前倒し的な措置が盛り込まれている。
(地域医療再生基金、介護従事者の処遇改善のための基金等)
今回の対応が時限措置であることを中期プログラムにおいて明確化すると
ともに、その後の対応については、財源確保と併せて検討すべきである。

(4)雇用を軸とした安心保障政策群のうち、子育て・低所得就業者への
給付付き税額控除については、税制抜本改革に向け、年度内に具体的制度設計
の論点・方向性を提示すべきである。

(5)幼児教育については、「幼保制度の一体化」さらには「厚労省と文科省
の関連組織の一本化」とあわせて、何よりもサービスの質の向上・効率化・
総合化を目指すべきである。
幼児教育の無償化については、これらとともに「必要となる財源の確保方策」
もあわせて総合的に検討すべきである。

(6)就学困難な高校生・大学生への公平な教育機会の確保やすまい・
まちづくりに連動した単身高齢者支援についても、税制抜本改革にあわせて、
歳出歳入両面の改革により必要な財源を確保した上で実現すべきである。

2.施策の裏付けとなる安定的財源の確保
「雇用」を軸とした安心保障政策の構築や社会保障のほころびの是正に向け、
「中期プログラム」を維持しつつ、以下の考え方に沿って、税制抜本改革に
併せて財源を確保し、施策を具体化すべきである。

(1)中期プログラムの別添工程表で示された改革の諸問題(社会保障の
機能強化)については、改正の時期も踏まえて検討を進め、確立・制度化する。

(2)持続可能な社会保障の構築に向け、中期プログラムに則って、
将来世代への責任を果たす観点から現世代の安心確保とバランスをとって
安定財源を確保する。

(3)安心と活力を両立する観点から、これまでの安心実現集中審議を踏まえ、
・格差の是正・固定化の防止の政策で、少子化対策に含まれる重要政策に
ついては、財源のあり方を含め、中期プログラムの枠内での確立・制度化を
検討する。
・その他の雇用を軸とした安心保障政策等については、税制抜本改革や
歳入歳出改革の中で、そのための所要財源を確保する。


以上のような内容の検討をしているとすれば、少子化対策、少子化時代を
前提とした安定財源確保を図るための検討をしているところであろう。

注目されるのは、(5)であろうか。
幼稚園と保育園とでは、主管官庁も異なり、全く違った対応になっているのが
現状であるが、これを一体化するとなれば、省庁再編の引き金にもなりうる。

抜本的な行政改革をするためには、更なる省庁再編が必要ではないかと考える
ところであるが、先般の消費者庁の設置などによる対応も評価されるところです。

この民間議員による提案では、社会保障財源の次世代への負担先送り解消が
検討されている。

これこそが本来の政治の役割で、民間議員による提案ではなく、閣僚提案で
出てきて欲しかった論点ですね。