政府新経済対策、15兆円規模に - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
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政府新経済対策、15兆円規模に

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税制改正 平成21年度税制改正
政府・与党の追加経済対策が正式に発表された。
当初言われていた10兆円規模というものから大きく上方修正され、
史上最大の15兆円規模のものとなった。
11日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じている。

麻生太郎首相は10日夕、首相官邸で記者会見し、事業規模56兆8000億円、
財政出動15兆4000億円と過去最大の追加経済対策を発表した。
政府は27日に経済対策を反映させた平成21年度補正予算案や関連法案を
閣議決定、国会に提出する。
首相は「野党の理解もいただき、成立を急ぐ」と述べ、6月3日が会期末
となる今通常国会中に成立させる考えを表明した。

首相は、2日にロンドンで行われた主要20カ国・地域(G20)首脳会合
(金融サミット)で財政・金融上の対策を総動員するとの合意を踏まえ、
「国民生活を守るため、世界各国とともに危機に対処するため断固とした
対策を打つ」と訴えた。
「経済危機対策」と銘打った今回の経済対策については、(1)景気の底割れ回避
(2)雇用や社会保障、子育て支援(3)成長が期待される分野−に重点を置いたと
説明した。

同時に「大胆な財政出動をするからには中期の財政責任を示さないといけない。
消費税(率引き上げ)を含む税制抜本改革は、景気をきちんと立て直す
ことを前提に必ず実施する」とも述べた。
昨年末に閣議決定した税財政改革の「中期プログラム」は、その後の
国債増発や経済状況のさらなる悪化を受けて見直していく考えだ。

■浮揚と成長へ総動員
「100年に1度」の経済危機に対応するため、麻生太郎政権が打ち出した
追加経済対策は、まさに“政策総動員”となった。
深刻化する雇用の安全網の整備など生活者の不安払拭に努めると同時に、
太陽光発電の普及、エコカーや省エネ家電の買い替え促進など環境を中心に、
将来の成長分野への投資を重視した。不況にあえぐ家計にとって朗報となる
項目も多い。

《雇用》
重点施策の雇用対策には、1兆9000億円を投じる。
特に、今年6月までの失職者が約19万人に達する非正規労働者の安全網を整備。
雇用保険の給付を受けられない人を対象に、職業訓練期間中の生活支援として、
月10万〜12万円程度の支給と上限8万円の貸し付けを行う「訓練・
生活支援給付」制度を創設する。

このほか、住居を失った離職者には、10万円以内のつなぎ資金を融資するほか、
最大6カ月間、家賃の一部を補助する。

また残業を減らすなどで非正規の雇用を守るワークシェアリングを実施した
企業には、1人当たり最大45万円を支給する。

《子育て・医療》
3万6000円の「子育て応援特別手当」は、すでに決まった平成20年度補正
では、3〜5歳(昨年3月末時点)の第2子からが対象だったが、第1子も
支給対象とする。

医療分野では、医師不足の解消や患者のたらい回しの防止のため、
3100億円の「地域医療再生交付基金」を創設し地域の医療体制を整備。
女性を対象に乳がんや子宮頸がん検診の無料クーポン券を配布する。

《環境》
省エネ家電の普及促進では、省エネ性能を星印で示す「多段階評価制度」で
4つ星以上の冷蔵庫やエアコン、テレビを対象に、他の製品の購入に使える
エコポイントを購入金額の5%分付与。
買い替えによるリサイクル費用も、ポイントで還元する。

エコカー購入に対する補助金制度も導入。
13年以上使った自動車を廃車にして一定の燃費基準達成車に乗り換える
場合は普通車で最大25万円が支給される。
車体価格230万円程度のハイブリッド車に買い替えた場合、21年度税制改正で
実施されたエコカー減税の12万〜13万円を合わせ、40万円弱の負担軽減となる。

《税制》
贈与税の減免は、約1400兆円の個人金融資産の動きを活性化するのが狙い。
住宅購入・増改築資金に限り、非課税枠を通常の110万円から610万円に
拡大する。
減税は今年1月までさかのぼって適用し22年末までの時限措置。

親の高齢世代から子供の若い世代への贈与を促し、住宅購入につなげる。

中小企業(資本金1億円以下)の交際費課税も、定額控除の限度額を
現行の年400万円から600万円に引き上げる。
中小企業の税負担が軽減されると同時に、地域の飲食店などでの消費が
増えることが期待される。




昨日まで紹介した民主党案と比較すると、非常に似ている気はしますが、
基本線は、昨年末の税制改正大綱の路線を踏襲しているようだ。

雇用、子育て、医療、環境という麻生内閣の重点政策に特化したものであるが、
環境問題という意味で、ハイブリットカーへの買い替え需要が増えることが
期待されている。

ハイブリットカーは、トヨタが世界に対しても強みを持つ領域ですし、
ホンダも力を入れている。
自動車メーカーの動向はわが国経済に大きな影響があるだけに、
期待が寄せられて当然であろう。

また、税制面では、住宅関連での暦年課税の贈与税控除額が500万増加。
住宅購入や増改築の需要が増えることが期待される。

中小企業の交際費上限アップは果たして交際費増加に寄与するのか。
この点は疑問ですね。

期待度は高いが、期待通りの経済浮揚効果を発揮できるのか、
麻生内閣の真価が問われる新経済対策である。