日経記事;『ソニー・ホンダ、創業時のスピリッツ再起へタッグ』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ソニー・ホンダ、創業時のスピリッツ再起へタッグ』に関する考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

3月5日付の日経新聞に、『ソニー・ホンダ、創業時のスピリッツ再起へタッグ』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『ソニーグループとホンダが電気自動車(EV)の分野で提携した。本体から独立した共同出資会社を2022年中に設け、技術者が創造的に設計・開発できる自由な環境を整える。両社のEV戦略に漂う停滞感を打破し、技術や事業モデルの開発スピードを上げる。自動車産業が100年に1度といわれる変革期を迎えるなか、ソニーとホンダが創業時のスピリッツを取りもどせるかが問われる。。。』

 

自動運転機能付EVの開発・実用化について、先日、ソニーとホンダは提携を発表しました。この日以来、ほぼ毎日本件に関する記事が各種メディアに掲載されています。

 

今回の記事もその一つになります。

 

今回の記事の要旨は、ソニーとホンダが創業時のスピリッツを取りもどせるかが問われるとのことです。

 

私は、ソニーとホンダが第二次世界大戦後の平和な日本で、井深さんと本田さんが独自に立ち上げた新興企業である歴史をある程度、書物やメディアの記事で読んでおり、一定程度の情報をもっています。

 

しかし、両社の創業者は、すでに存命しておりません。また、両社の社会環境・事業環境は大きく変化しています。

 

ホンダの事業環境は、ソニーのそれと比較して厳しいものになっています。トヨタの豊田さんが、言われていますように、今の自動車業界は、100年に1度の大変革期にあります。

 

私は、以前のブログ・コラムで、ホンダが今まで自社のリソースを中心とした垂直統合方式で、ガソリンエンジン車の開発・実用化を進めてきたことについて書いています。

 

既存自動車メーカーは、ガソリンエンジン車の開発・実用化については、非常に多くのノウハウを蓄積しています。

 

しかし、自動運転機能付EVの開発・実用化については、ガソリンエンジン車で蓄積したノウハウは、しょうしょう極論を言いますと、車体の安全性や信頼性などを除けば、ほとんど役に立ちません。

 

現在の自動運転機能付EVの開発・実用化は、グーグルなどの米大手IT企業や中国企業が中心になって進めています。

 

ホンダの現経営陣は、ガソリンエンジン車の未来を見据えた結果、新規のガソリンエンジン車の開発・実用化を行わずに、EVの開発・実用化に特化すると宣言しました。

 

ホンダにとっての経営課題は、自動運転機能付EVの開発・実用化を迅速、かつ、効果的に進める体制の早期確立です。

 

現時点で、EVの開発・実用化で先頭を切っていますのは、間違いなくテスラモーターズです。

 

テスラモーターズの創業者は、IT企業出身です。テスラの設計・開発思想には、IT企業の考え方やノウハウが適用されています。

 

米大手IT企業は、過去20年位の間に、各国の既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。その結果、これらの企業は、自社の事業基盤のプラットフォーマーとして君臨しています。

 

自動運転機能付EVの市場には、グーグルだけでなく、アップルやアマゾンなどの米大手IT企業が、参入してきます。

 

これらのIT企業は、自動車専業メーカーではありません。IT企業は、水平分業方式で自動運転機能付EVの開発・実用化を実行します。

 

国内の自動車メーカーでは、トヨタがこの急激な事業環境の変化を予測して、こてこての垂直統合方式の開発・実用化から、水平分業方式の体制に移行しつつあります。

 

また、トヨタは、水素燃料電池車に加えて、自動運転機能付EVの開発・実用化を、巨額投資により、迅速に行うことを表明しています。

 

ホンダが、自動運転機能付EVの開発・実用化を行うためには、徹底的に水平分業方式での事業化を実行する必要があります。

 

水平分業方式とは、他社とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行うことにあります。

 

オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を成功させるためには、参加企業の事業分野が重複しないこと、お互いにイコールパートナーシップであること、お互いに強みを持つことによる勝者連合になること、「Win/Win」の関係維持ができることなどが、必要十分条件になります。

 

ソニーの場合、今までの集中と選択作業の結果により、家電メーカーから、ゲーム・音楽・映画・ITなどの総合的なエンターテインメント企業に進化しました。

 

ソニーは、すでに自動運転機能付EVの事業化検討を行い、近々に検討を終了することを発表していました。

 

ソニーとホンダが、EVに特化した事業会社を2022年度中に設立することは、ソニーが自動運転機能付EVの事業化に向けて、1歩踏み出したと判断します。

 

ソニーも、米大手IT企業と同じように、エンターテインメントのコンテンツやソフトウエアを消費者に届ける、電子端末機器の拡充が必要になっています。自動運転機能付EVは、動く電子端末機器になります。

 

ソニーとホンダが、お互いの強いを持ち寄って、上記します、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を成功させるための必要十分条件を満たせば、日欧米などの市場で勝ち組になることが可能です。

 

私は、この視点から、今後のソニーとホンダの事業連携(アライアンス)の動きに注目していきます。

両社の事業連携(アライアンス)のやり方は、ベンチャー・中小企業にとって参考になることによります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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