- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『京都発EV、商用で再起 スタートアップが中国と分業』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
9月2日付の日経新聞に、『京都発EV、商用で再起 スタートアップが中国と分業』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『電気自動車(EV)スタートアップのフォロフライ(京都市)が商用EVを相次いで日本で販売する。2021年に発売したバンタイプは運送大手に納入するほか、22年6月にはトラックを開発し提供を始めた。小間裕康代表は前に起業した会社でスポーツタイプのEVを開発した経験を持つ。スポーツカーは量産まで至らなかったが、その経験が商用車に生かされている。再起への軌跡を追った。。。』
本日も、EVに関するブログ・コラムを書きます。
私は、自動運転機能付EVの開発・実用化は、既存自動車メーカーが1社単独で実施することは難しく、特に自動運転機能の実装は、ソフトウェアの開発、AI・IoT対応などが必要であるため、と述べてきました。
一般的に、既存自動車メーカーが自動運転機能の実装を行う場合、ITなどの他企業とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を組む必要があります。
本日の記事にあります、フォロフライ;folofly(株)は、EV本体を他企業とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を組んで実現しています。
フォロフライは、現在、バンとトラックのEVを商品化しています。今後、当社は、毎年1商品を新規に市場導入する計画をもっています。
バンとトラックは、近隣の配達用EVに特化して商品化されています。当社のWebサイトをみますと、以下の商品スペックが説明されています。
・積載量:普通免許運転可能車種※で最大積載量 950Kg
・航続距離:航続可能距離300Km、物流に必要なラストワンマイルを可能に
・バッテリー保証:5年間あるいは12万㎞までの製品保証つき
・Seating Capacity 乗車定員 2
・Max. Mileage 航続可能距離(km) 300km
・Charge Time 充電時間 DC (Fast Charge) : 1.5hs~ / AC (Slow Charge) : 6.5~13hs、など
また、EVの販売価格は、ガソリンエンジン車と同程度に抑えていると書かれています。
当社は、近隣の配達に使用できるよう手ごろな価格でのEVを開発・実用化するため、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用して、徹底的な水平分業方式を採用しています。
当社は、EVの開発、企画、設計に特化する。EVの車体は、中国メーカーから入手する。車体は、ガソリンエンジン車で実績のあるものを使用する。
本体に実装するソフトウェアや車体への電池実装などの自動車製造は、EVの中国メーカーに委託する。
国内市場でのEVの販売および保守点検は、丸紅オートモーティブに委託する。
フォロフライのビジネスモデルは、完全な水平分業方式で成り立っています。外部委託先と「Win/Win」の関係が維持できる限り、このビジネスモデルは有効です。
国内市場では、近隣の商用目的のEVがほとんど実用化されておりません。フォロフライは、その潜在需要に着目して、低価格なEVの開発・実用化を成功させました。
最近、中国のEVメーカーが、国内のバス市場などに参入しつつあります。国内市場は、現時点ではHVやPHVの使用台数が、EVをしのいでいます。
しかも、今後、電池性能の向上や、EVの省電力化などの技術革新が進みますと、ガソリンを使わないEVの潜在需要が高まる可能性があります。
水平分業方式でEVの開発・実用化を行う企業の強みは、工場をもたないファブレスにあります。
ファブレスの強みは、工場や製造設備をもたないため固定費を低く抑えることにあります。
一方、水平分業方式を可能にするオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)が成立する前提は、当事者間で「Win/Win」の関係が維持できることです。
「Win/Win」の関係が維持できないと、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)は崩壊します。
フォロフライの力の源泉、つまり強みは、EV商品の開発、企画、設計から生み出されます。
米アップルのiPhoneは、当社の商品企画力、デザイン、開発、設計の結集により、魅力的なスマートフォンが生み出されました。
iPhoneの商品力が、アップルの水平分業方式でのビジネスモデルを成功させたと考えています。
もし、フォロフライの商品化開発力が落ちると、水平分業方式を可能とする「Win/Win」の関係が維持できなくなる可能性があります。
ベンチャーや中小企業が、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用して新規事業の立上や既存事業の拡大を行うとき、自社の強みを明確にもっていないと、基本的に「Win/Win」の関係構築や維持ができません。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)をきちんと、確実に行うためには、参加企業の役割分担が明確化されており、お互いにメリットが生まれる状況にあることが必要不可欠になります。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用するビジネスモデルを考えているベンチャーや中小企業は、フォロフライの今後の事業展開に注目して、参考にすることをお勧めします。
私も、当社の今後の事業展開に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上
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