日経記事;『パナソニック、研究開発に外部資本 事業化ノウハウ獲得』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック、研究開発に外部資本 事業化ノウハウ獲得』に関する考察

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皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

3月4日付の日経新聞に、『パナソニック、研究開発に外部資本 事業化ノウハウ獲得』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『パナソニックは研究開発部門が立ち上げるスタートアップにベンチャーキャピタル(VC)など外部資本を受け入れる取り組みを始める。外部の資金や知見を取り入れ、苦手としてきた短期間で技術やアイデアを事業化するノウハウの獲得を狙う。まず米シリコンバレーと日本に拠点を置くWiL(ウィル)と組み、脱自前でスピード感ある事業立ち上げを目指す。。。』

 

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーの1社です。以前には、パナソニックはソニーと同じように、世界中の家電機器市場を席巻しました。

 

両社は、マイクロソフトやアップルなどの米大手IT企業、中国企業、韓国企業などとの競争に負けた結果、長期間集中と選択作業を行う必要に追い込まれました。

 

その後、ソニーは経営者が後退した後、事業構造の変革を急速に進めた結果、現在のソニーは、家電メーカーではなく、ゲーム、音楽、映画を含めたエンターテインメント企業に進化しています。

 

現在のソニーの業績は、収益の面から過去最高の結果を出しています。

 

一方、パナソニックは家電メーカーとして事業を行っています。EV用途の蓄電池事業は、一定の成果をあげていますが、世界市場でのシェアから見ますと、現時点では中途半端な事業規模であり、大きな経営の柱に育っていません。

 

パナソニックとソニーの経営手法の違いの一つに、ソニーは元々ゲーム、映画、音楽などのエンターテインメント事業を行っていたこともあって、他社との連携・協業(アライアンス)に習熟していました。

 

パナソニックの場合、この他社との連携・協業(アライアンス)が決してスムーズに行っているとは、言い切れない事例があります。

 

例えば、パナソニックがEVの米国企業であるテスラモーターズと共同で巨額投資を行って立ち上げた、EV用蓄電池工場の稼働が上手くいきませんでした。

 

この原因の一つが、パナソニック側の決定のスピードが、テスラモーターズと合わなかったことにあると聞いています。

 

パナソニックは、典型的な日本型の経営手法を採用しており、会社の施策を決定・実行するまでに、一般的には社内調整を行って複数の決定プロセスを通すやり方を採用していたと考えます。

 

対して、テスラモーターズの創業者は、IT企業出身者であり、経営手法はIT企業と同じように、迅速な対応を行っています。

 

言わば、この当時のパナソニックとテスラモーターズの経営手法は、水と油であり、常識的には合うはずがありません。

 

マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾンなどの米大手IT企業は、急激なスピードで、既存事業基盤を急速に破壊・再構築して、自社に有利なプラットフォームを築いてきました。

 

ソニーは、これらの米大手IT企業との競争に負けた結果、経営改革を進めて従来の国内企業の経営手法とは、異なったビジネスモデルを構築・実用化してきました。

 

パナソニックは、多くの優れた商品群をもっているにもかかわらず、事業業績が伸びていません。

 

米大手IT企業のビジネスモデルの一つに、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)の積極的な採用があります。

 

インターネット・ITが社会や事業の基盤になった結果、個人のし好、技術の進歩、社会基盤の変化などのスピードが極めて速くなりました。

 

このような事業環境下での企業は、経営スピードを上げていく必要があります。この経営スピードを上げていくやり方の一つが、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方になります。

 

トヨタ自動車は、パナソニックと同じように伝統的な日本の製造企業でした。トヨタは、数年前から100年に1度の自動車業界の大変革を想定して、伝統的な垂直統合方式での開発・実用化を行わずに、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)の採用を進めてきました。

 

トヨタの真価が問われるのは、近々にEVなどの次世代環境対応車市場での競争での勝負になります。

 

私は、現在のトヨタの経営手法は、激変する事業環境下での最適なものであると考えています。

 

パナソニックに対する期待は、ソニーやトヨタと同じように、急激に変化する事業環境下で、耐性のとれた経営手法を積極的に取り入れて、競争力のある商品をタイムリーに出せるようになることです。

 

パナソニックは、ここ数年間、IT企業のような外部から積極的に人材を採用したり、自社の技術者を米国のシリコンバレーに派遣して、IT企業の開発・実用化のプロセスを体験させるなどの施策を行っています。

 

本日の記事にあります、パナソニックが「研究開発に外部資本を注入、 事業化ノウハウ獲得」などの経営手法を取り入れることは、その一環です。

 

パナソニックには、このような経営手法を積極的に取り入れて、急速に変化する事業環境に対応した、商品の開発・実用化を柔軟に行える耐性を獲得することです。

 

例えば、現在製造企業やIT企業では、ハードウェアやソフトウエア商品の開発・実用化について、アジャイル開発のやり方を取り入れるところが増えています。

 

アジャイル開発については、下記Webサイトが参考になります。

・アジャイルソフトウェア開発とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%8B%E7%99%BA

・アジャイル開発とは

https://www.ogis-ri.co.jp/column/agile/agile_w01.html

 

パナソニックが、今後、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)や、アジャイル開発などの経営手法を積極的に取り入れて、新規商品の開発・実用化を迅速に行い、世界市場で勝ち組になることを大いに期待します。

 

この視点から、今後のパナソニックの動きに注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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