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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月26日更新

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日経記事;『統計の主役交代 コロナで加速 急激な景気変動、政府追いつけず民頼み』に関する考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

11月22日付の日経新聞に、『統計の主役交代 コロナで加速 急激な景気変動、政府追いつけず民頼み』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

 

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『新型コロナウイルス禍をきっかけに民間データが政策現場に急速に普及している。代表格は携帯電話の位置情報やクレジットカードの決済情報など。いずれも経済の動きをリアルタイムでつかめるのが特長だ。国内総生産(GDP)をはじめ旧来の公的統計は集計・公表に時間がかかり、景気のめまぐるしい変化に追いつけなくなっている。。。』

 

私は、ベンチャー・中小企業の経営支援を行うため、頻繁に統計資料を活用しています。私が様々な統計資料の中で、最も信頼しているのは政府や官公庁が発表する統計資料・データです。

 

政府統計は、下記のe-Stat(政府統計の総合窓口)Webサイトから閲覧・収集できます。

https://www.e-stat.go.jp/

 

政府は統計法に基づいて、国内の社会的、あるいは経済的な事象を客観的な数値を把握するため、各種調査を行い統計資料・データを収集、公表しています。

 

ちなみに、「統計法」は、以下の目的達成のために設けられています。

●統計の真実性を確保し、統計調査の重複を除き、統計の体系を整備し、及び統計制度の改善発達を図る。

●経済政策の一貫性を保ち、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与。など

 

統計法の実施に関する予算は、平成元年年度で総額約377億円となっています。

 

政府や官公庁統計資料・データの特徴は、一般的に以下の通りです。

●調査の規模が大きく、精度が高い

●時系列データが取れる

●長期傾向をつかめる

●過去との比較が可能、地域別、月別比較が可能、需要予測の基礎データとなる

●調査結果の一貫性が高く、客観性・信頼性が高い

●調査範囲・種類が広い

●各省庁の政策決定の基礎データとなっている、など

 

一方、政府や官公庁の統計資料・データは、調査から集計、公表まで長時間を要するなどの課題があります。

 

本日の記事で指摘していますように、今まで政府の景気判断は、総務省の家計調査などをベースに行ってきました。しかし、「この統計は10月の月例報告の時点では宣言下の8月分の数字しか出ておらず、足元の消費動向を判断する材料にはできなかった」と書かれています。

 

また、現在の家計調査の対象項目が、国民生活の実態をきちんと把握できていない、などの指摘があります。

 

現在、インターネットやITの急速な普及などにより、短期間に国内の社会・経済状況が短期間に動いており、政府の既存の統計調査では、このような急激な変化を把握することは困難です。

 

ネット調査会社のマクロミル社は、2021年10月15日に内閣府公表資料に、定点観測調査データ「Macromill Weekly Index」が採用されたと、下記のWebサイトにてプレスリリースを行いました。

https://www.macromill.com/press/info/20201222.html

 

政府が公表する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」に、定点観測調査データ「Macromill Weekly Index」が採用されました。

 

私は、この政府の動きについて、賛成します。既存の政府や官公庁統計資料・データを、補完するものとして、今後、政府の必要性や事業環境に応じて、より積極的に活用してもらいたいと考えます。

 

私は、支援先企業の必要性に応じて、新規事業の立上や、国内外の販路開拓・集客時に、マクロミルなどのネットリサーチを活用しています。

 

現在、国内には、マクロミル以外に、楽天インサイト、NTTコムリサーチ、クロス・マーケティング、インテージなどのネットリサーチ会社があります。

 

上記ネットリサーチ会社は、モニター対象者や得意分野が各々異なっています。私は、支援先企業の状況に応じて、適切なリサーチ会社を活用しています。

 

本日の記事によりますと、現在の政府の統計調査のやり方は、紙ベースで調査票の作成、郵送での調査依頼、郵送での質問結果の回収というアナログのやり方が主流となっています。

 

このような状況下、短期間に変化する経済や市場環境を的確に把握するため、民間調査機関との連携や、インターネットやITを活用した統計手法の導入の必要性などを指摘しています。

 

ところで、公益財団法人 NIRA総合研究開発機構(略称:NIRA総研)が、2021年11月12日に発表しました興味深いレポートがあります。

 

当該レポートのタイトルは、「インターネット調査のサンプル特性 国勢調査・面接調査との比較」です。このレポートが掲載されているWebサイトのURLは以下の通りです。

https://www.nira.or.jp/paper/article/2021/wp01.html

 

このレポートによると、同一の質問項目によって構成される、無作為抽出に基づく面接調査と性別・年齢層で回収目標数を割り付けたインターネット調査を同時に実施し、国勢調査との共通項目と合わせて比較した結果、下記の結果が導かれています。

 

『分析の結果、インターネット調査の回答者には一定の省力回答者が含まれ、国勢調査と比べて大都市居住者が多く、学歴も高いという特徴のほか、面接調査回答者と比べて外向性・協調性が低く、神経症的傾向が高いというパーソナリティの特性が分かった。一方、面接調査にも、国勢調査よりも「持ち家率」が高いといったバイアスがあり、無作為抽出に基づく調査結果を「正解」とするインターネット調査の補正には注意が必要なことが示唆される。』

 

当該レポートの詳細は、上記Webサイトをご覧ください。

 

要は、使用者が、政府や官公庁の統計資料・データや、ネットリサーチ会社の調査結果は、それぞれの特徴、限界点、正確性、一貫性、客観性、合理性などを考慮して、当該データを確認・活用することが重要になります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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