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遡及適用違憲訴訟、福岡高裁逆転敗訴

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発表 実務に役立つ判例紹介
時事ドットコム2008年10月21日18:58記事によると、

マンションの部屋を売った後に改正された法律を根拠に、
税務署が所得から売却損を控除しなかった処分の是非が争われた
訴訟の控訴審判決が21日、福岡高裁であった。
山口幸雄裁判長は、処分を違憲無効とした一審福岡地裁判決を
取り消し、原告側請求を棄却した。原告は福岡市の女性。
改正租税特措法は2004年4月に施行。長期間所有した不動産の
売却損を他の所得から控除できなくなり、同年1月1日以降の
売却に遡及し対象とした。
その上で、控除を狙った駆け込み売却を防止する必要や
年途中からの実施は徴税の混乱を招く恐れから、
「遡及適用の必要性は高い」と指摘。納税者への周知も
ある程度されており、「改正法は違憲とはいえない」と判断した。

という。

私はここでも過去に遡及適用の是非について書かせて頂いたが、
私の結論とは真っ向反対の判決であり、当然のごとく、
研究論文等を用いて、今後、反論させて頂く所存です。

そもそも納税者不利の遡及適用が認められるのであれば、
憲法84条が、

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、
法律又は法律の定める要件を必要とする。

などという書き方はしないであろう。

手元に古い版しかないのですが、
芦部信喜「新版憲法」(岩波書店1997)323ページによれば、

「法律」による議決を要する事項は、納税義務者、課税物件、
課税標準、税率等の課税要件と、税の賦課・徴収の手続である
(最大判昭和30・3・23民集9巻3号336頁)。これによって、
法的安定性ないし予測可能性が確保される。

とされている。

つまり、裁判官が勉強しているはずの東大の憲法の大家は、
課税要件を法律で決めることは、予測可能性を確保するために
必要だ、と言っている訳です。

今回の遡及適用は、適用限界まで僅か2週間しかない時期に
新聞の片隅に掲載された税調大綱の記事のみで、
「納税者への周知もある程度できている」から、
遡及適用は違憲とはいえないと結論付けているのである。

税調大綱は断じて法律ではない。
それどころか、通達でもない。
諮問機関ではあるけれども、公的見解を公表できる機関ではない。
この判決の結論を実務に活かしていいのであれば、
与党税制改正大綱で出された意見を、先行して適用して申告したとしても、
税務署がこれを否認する場合には、信義則が適用されるとでも言うのだろうか。

裁判所がそこまでの覚悟で判決を書いたとはどうしても思えない。
東京地裁事件、千葉地裁事件を係争中の東京高裁の判断や、
本件に対する最高裁の判断が、信義則適用の危険性まで分かった上で
判断されることを望むばかりである。

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