税法における住所ってドコですか?(2外国人漁船員) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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税法における住所ってドコですか?(2外国人漁船員)

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発表 実務に役立つ判例紹介
河北新報の記事は、日本人が外国の船舶に乗っている事例ですが、
逆のケース、つまり、外国人が日本の船舶に乗っている事例は、
裁決ですが、先行事例が存在します。

平成18年1月25日裁決(裁決事例集71集349頁)
(TAINSコードJ71−2−14)です。

本件は、外国人漁船員の給与等に係る源泉徴収税の告知処分
に対する取消請求で、全部取消になった事例です。
しかし、取り消された理由は、税務署のミスでした。
以下で、裁決の内容を紹介しましょう。

<事案の概要>
本件は、漁業を営む同族会社である請求人が、請求人所有の船舶に
乗船させる外国人漁船員の手配等を依頼した法人(H社)に支払った
金員の一部について、原処分庁が国内源泉所得に当たるとして行った
源泉所得税の納税告知処分に対し、請求人が、国内源泉所得に
当たらないこと等を理由にその取消を求めた事案である。

<認定事実>
請求人は、海上技術安全局船員部労政課長通達に基づき、
「海外基地を中心に操業する日本漁船に乗り組む外国人の配乗等に関する調書」
を所轄運輸局に提出し、また、船員法等の規定に基づき、
外国人漁船員に係る船員手帳の交付申請に必要な船員手帳交付申請書
及び添付書類を海外漁業船員労使協議会に提出するなど、
本件船舶に外国人漁船員を乗船させるための所定の手続を行っている。
なお、船員手帳交付申請書の添付書類である雇用契約証明書には、
請求人が外国人漁船員を本件船舶の船員として雇用契約していることを
証明する旨及び雇用契約期間、外国人漁船員の氏名、生年月日、国籍等の
記載事項がある。

<裁決要旨>
請求人は、自らが所有し遠洋漁業を行う本件船舶に乗船させた
外国人漁船員とは雇用契約書を取り交わしておらず、外国人漁船員の
手配等を行うH社から派遣されたものであるから、本件船舶に乗船させた
外国人漁船員の人的役務の提供の対価は所得税法161条8号イに
掲げる国内源泉所得に該当せず源泉徴収義務はない旨主張する。

しかしながら、本件船舶に乗船させる外国人漁船員は請求人の意思で
その採否を決定していること、請求人は外国人漁船員の船員手帳の
交付申請に際し外国人漁船員の雇用証明書を提出していることなどから
すれば、請求人と本件船舶に乗船させた外国人漁船員とが直接の
雇用契約書を取り交わしていないとしても、請求人と当該外国人漁船員
との間には雇用契約があると認めるのが相当である。したがって、
本件対価は、請求人との雇用契約によるものであるから、
所得税法161条8号イに規定する国内源泉所得に該当する。

そして、請求人は本件対価をH社の国内預金口座に振り込む方法により
支払っており、また、外国人漁船員が本件船舶に1年以上の期間
乗船していたとしても、本件船舶は当該外国人漁船員にとって勤務地
であって住所や居所には該当せず、当該外国人漁船員は非居住者に該当
するから、所得税法212条1項の規定により、請求人は本件対価の
支払の際に源泉徴収義務がある。

なお、本件納税告知処分には、各月分の納付すべき源泉所得税の額及び
法定納期限の認定に誤りが認められるが、法定納期限の認定の誤りは、
国内源泉所得の支払地が国内か国外かによるものにすぎず、既に
自動的に確定している隔月分における源泉所得税に係る国税債権に
影響するものとは認められず、また、正当な法定納期限後の日付をもって
本件納税告知処分をしたことが請求人の利益侵害とも認められないから、
当該誤りをもって本件納税告知処分を取り消すことは相当ではないと
認められるが、本件納税告知処分のうち正当に計算した本件対価の
支払に係る各月分の納付すべき源泉所得税の額を超える部分は違法
となり取り消すべきである。


以上が、裁決の内容です。

全部取消事案なので、遠洋漁業の船舶に外国人を乗船させた場合の
給与の源泉所得税の支払義務が取り消されたのではなく、
税務署の計算ミスのために、取らなければならないはずの税額を
裁決によって取り消されたという事例です。

本裁決によれば、
外国人漁船員にとって、本件船舶は住所ではなく勤務地であるから、
住所は日本にはないけれども、日本の会社で働いている以上、
日本で稼いだ分については、日本で課税するよ、ということです。

河北新報の事例についても、気仙沼税務署は、本裁決を参考に
漁船員の住所は船舶ではない、と主張されることでしょう。

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