税法における住所ってドコですか?(3武富士事件1) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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税法における住所ってドコですか?(3武富士事件1)

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発表 実務に役立つ判例紹介
海外財産の譲渡と住所の認定が問題となった2つの事例、
武富士事件とユニマット事件を取り上げる。

武富士事件については、東京高裁平成20年1月23日判決において、
原審取消の敗訴判決を書き、ユニマット事件においては
東京高裁平成20年2月28日判決は原審維持、納税者勝訴で確定している。

この2つの事件を比較検討することにより、住所概念を検討したい。

まず、武富士事件の地裁判決を紹介する。(今日は事実認定まで)

東京地裁平成19年5月23日判決(TAINSコードZ888−1248)

判決の内容は以下の通りである。

<事件の概要>
オランダ法人A社は、亡B及びCがそれぞれ560口、240口を出資して
設立された非公開会社である。
平成11年12月27日付けの本件贈与契約書により、
原告は、A社の出資持分を亡Bから560口、Cから160口、贈与された。
被告税務署長は、本件贈与について、原告に対し、本件贈与に係る贈与税の
決定処分及び無申告加算税賦課決定処分(本件処分)をしたところ、
原告は、香港に居住し、生活の本拠も香港であったと主張して、
本件処分の取消を求めて提訴したのが本件である。

<裁判所の判断>
1.認定事実
(3)原告の経歴
原告は出生後、昭和57年12月に亡B、C、実弟Dとともに、本件自宅に
転居し、亡B、C、Dが引き続きに居住している。
原告は留学中の平成5年、亡Bから、B社株式1000万株余りを
贈与され、帰国後の平成7年1月にB社に入社、平成8年6月には
取締役営業統括本部長に就任している。

(4)原告の出国に至る経緯
亡Bは、平成9年2月頃、J弁護士から、贈与者が所有する財産を国外に
移転し、さらに受贈者の住所を国外に移転させた後に贈与を実行する
ことによって、わが国の贈与税の負担を回避して、又は、いずれの国の
贈与税の負担も免れるという方法の、一般的な説明を受けた。
B社は、平成9年5月の取締役会において、海外での事業展開を図るため、
香港に海外事業統括子会社を設立することなどを決議し、同年7月の
取締役会において、海外事業の具体的な検討・準備のため、
現地駐在員として原告を選任し、6月29日付で着任したことを承認した。

(5)入出国の状況について
平成9年6月29日から平成12年12月17日までの本件滞在期間中に
占める香港滞在日数の割合は65.8%、日本滞在日数の割合は26.2%
であり、本件滞在期間中、原告は欧州又は北米に9回渡航しているが、
このうち7回はいったん成田を経由してから欧州又は北米に渡航している。

(6)原告の住所について
原告は、香港において、サービスアパートメントに滞在するため、
原告が日本出国日に香港に携帯したのは衣類程度であった。
原告は、本件滞在期間中、月に一度は日本に帰国し、本件自宅で起居していた。
原告は、本件滞在期間前には、1ヶ月5〜10万円をCに生活費として
渡していたが、本件滞在期間中は、5〜10万円程度の土産や現金を渡していた。

(7)原告の職業について
B社は、平成9年9月、消費者金融業及びベンチャーキャピタル業を営むことを
目的として香港で原告らを取締役とするC社を設立したが、
平成10年10月当時、C社の事務所は、共同出資者のE社の事務所の一部を
借りており、電話は設置されたものの、現地の商工会には加盟せず、
常勤の役員は原告1名で他に従業員はおらず、会計帳簿・稟議書等は
B社本社において作成されていた。
原告は、パソコンの操作方法を習熟しておらず、手書きの書面をB社本社
海外事業部にファックスして従業員Oに書面化してもらっていた。
B社は、平成10年12月新たに全額出資子会社として、休眠会社を買い取り、
D社とし、原告は平成11年1月にD社の取締役に就任した。
現地採用秘書は、香港各会社の経費支出を逐一B社本社に報告し、
香港各会社の帳簿類は、B社で作成していた。
Oが原告から送られたファックスや電話での聴取内容に基づき作成した
業務実績表等によれば、原告が香港において、香港各会社ないしB社の業務
もしくは原告の香港における滞在に関連して、面談、接待、契約ないしIR活動を
行ったのは本件滞在期間中168日間である。
平成10年2月のB社取締役会において、原告は平成9年9月17日付で
営業統括本部長の職務を解かれたことが了承された。
原告は、本件滞在期間中も、月1回の割合で開催されるB社取締役会の多くに
出席し、海外投資活動やB社の海外IR等の海外事業について報告している。
原告は、香港各会社から役員報酬として、平成10年には約108万香港ドル、
平成11年には約110万香港ドルを受け取った。
他方、原告は、本件滞在期間中、B社から平成11年3月期に約150万円、
平成12年3月期に180万円の役員報酬を受け取った。
原告が香港各会社及びB社から受領した役員報酬の合計額は、同時期の
B社常務取締役のうち最も報酬の高い者と近い額となっている。

(8)資産の所在等
原告は、国内においては、B社の株式1000万株余り(平成9年決算期)、
1300万株余り(平成9年5がつ無償増資後)を所有し、
平成10年12月31日現在の預金残高約23億円、
借入金残高約182億円であった。
原告の香港における資産として、約5000万円の預金があった。

(9)原告の作成した書面等
原告は、香港出国日に借入のあった銀行10行、ノンバンク3社のうち、
銀行3行については、住所が香港に異動した旨の届出を行っているが、
銀行7行ノンバンク3社については届出を行っていない。
原告は平成10年6月24日にB社の常務取締役に就任した際に
署名した取締役承認承諾書及び役員宣誓書に、本件自宅を住所として
記載している。
他方、B社の有価証券報告書の大株主欄には、原告の住所として
本件香港自宅が記載されている。
原告は、貸金業の規制等に関する法律に基づくB社の登録更新手続の
際の登録申請者等の履歴書にも、原告の住所として本件香港自宅を記載
したほか、在香港日本総領事あて在留証明願、香港移民局あて申請書類一式、
香港での納税証明書、香港の医療保険会社の加入手続書、F社取締役就任時の
宣誓書及び登記所備付変更通知書においても、本件香港自宅を住所としている。

(10)本件贈与に至る経緯
平成10年後半から平成11年初頭、S会計士は、亡Bに面会し、
数回にわたり、相続税・贈与税、事業承継等をテーマにレクチャーし、
平成11年10月頃、本件贈与の実行に関する具体的な提案をした。
同年12月、S会計士は、政府税調が相続税法の改正を検討している
との情報を得て、亡Bに対して、同年内の本件贈与の実行を進言し、
贈与を実行した場合には、原告が1年以上海外にいるようにすること
などを説明した。

(12)原告の香港出国と日本への帰国
原告は、本件贈与後、3ヶ月に1回程度、国別滞在日数を集計した一覧表を
Oに作ってもらっていた。原告は、平成12年11月頃、日本に長く滞在
していたところ、S会計士から、早く香港に帰るよう注意を受けた。
原告は、平成12年12月17日、一身上の都合で退職する旨の退職届と
亡Bの期待に応えられないことを謝罪する内容の手紙を残して香港を出国した。
原告の出国後、B社は、香港各会社の新たな代表者を選任せず、
平成13年8月には事務所も閉鎖し、同年12月には株式を譲渡した。

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