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クリティカルシンキングCase Study - "愛媛県立高校生ヘルメット義務化"を解剖

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クリティカルシンキング

この春、愛媛の高校生が叫んでます。


愛媛県内の全ての県立学校が2015年度から、自転車通学生のヘルメット着用を義務化することに決まったからです。

自転車に乗る生徒の安全化のためだそうです。

自転車通学生ではない生徒を含め、全ての県立高校生約3万人にヘルメットを無償で配布する予定だそうです。

県教育委員会は「都道府県レベルでの取り組みは全国で初めて」と胸をはっています。


確かに、ヘルメット着用の効果は科学的にも大いに認められているところです。

 

しかし、どうも、なぜか論理の飛躍を感じます。


「なぜ?」「愛媛?」「日本で初めて?」「無償配布?」。。。。

何か不自然な気がします。

地元新聞が謳うように、「自転車通学生の命を守る!」ことが第一義の目的なのでしょうか?


大いなる好奇心と、「なぜ?」を感じたので「愛媛ヘルメット義務化」を、クリティカルシンキングで解剖してみました。

Be Willing To Wonder―なぜなのかを探求; クリティカルシンキングの基本の基本です。


Critical Thinking

Step One: Ask questions「理由を検証」Examine the Evidence 「証拠、資料を調べる」


なぜ? 今、愛媛だけ? しかも、県立高校だけ?


愛媛新聞によると「県内では14年、自転車の県立高校生の死亡事故が相次いだ。」そうです。

具体的に引用されているのは、2件の死亡事故。

県庁所在地松山の交通量の多い交差点で、ダンプカー、トラックと衝突しての事故です。


痛ましいですね。

しかし、統計データを紐解いてみると、愛媛の自転車事故死亡率ワースト順位は、全国で23位。

突出して多いわけではありません。


また、「愛媛県警察 交通事故概況」によると。

「自転車事故は前年と比べ発生件数と傷者数は減少、死者数は変わっておりません。」

あれ?


しかも。

「1は、13人中9人を高齢者が占めています。」

あれ? あれ?


Whyを考え、Evidenceを調べると、論理が全くつながらなくなりました。



Critical Thinking

Step Two: Define Your Terms 「目的を定義すること」


もし、本気で愛媛県民の命を守るのが目的であれば、まず高齢者にヘルメットを無償配布すればどうでしょう?


それでも、高校生も死亡しているから。。。というのなら、なぜ県立高校生だけですか?

あれ?


昨年8月にこんな提言が知事に出されたようです。

「県立高校生の自転車乗車時にヘルメット着用を義務化してください。まず、県立高校から始めれば、私立高校にも広がりますし、社会人にも波及します。」


ん?

社会人?

どんどん捜査対象が広がって来ました。


なるほど、その理由はここにありました:

2013年7月1日に愛媛県がこんな条例を作っていました。

「年齢の区別なく自転車に乗車する全ての人にヘルメット着用義務」


国の道交法上は「13歳未満の児童幼児のヘルメット着用が保護者の努力義務」

愛媛はそれを全ての人に広げています。


あれれ?

定義がとてつもなく広がって行きそうなので、次のステップで考えてみましょう。



Critical Thinking

Step Three: Consider Other Interpretations 「違う方向から考えてみる」

Don't Oversimplify 「結果に至る理由を単純化しないこと」


なぜ、愛媛県は「全ての人ヘルメット着用義務」条例を作ったんでしょう。

着用義務だけど罰則はなしです。


あ。

「しまなみ海道」サイクリング観光振興!!

県民みんながヘルメットを着用している県!に存在する「しまなみ海道」!!


ではこの条例の目的は?

知事によると「まだまだ多くの人が、ヘルメットをつけずに自転車に乗っていた。事故を防ぐため、地道に条例の内容を周知していきたい。」と、述べています。。。

が。


日本損害保険協会」が発表している、自転車事故の発生状況によると。

主な原因は安全不確認、一時不停止、信号無視


交通ルールを守っていないことです。

「事故を防ぐ」には、その原因を取り除くこと。


ヘルメットをかぶれば事故が減るわけではないです。


愛媛県の道路事情もかなり問題です。


運転手のマナーも非常に悪いです。

(さっき、近くの踏切と信号で観察してきました。 完全一時停止している車は半分もいません。 バイクなどは全く止まってません!! 赤信号に変わってからも4~5台の車がスピードアップして進みました。)


高校生の自転車マナーも最悪です。

並列走行、信号無視など日常茶飯事に目撃します。


「事故を防ぐ」のが本当の目的なら、ヘルメットの前にやるべきことは山ほどあると思います。


でも、本当の目的は他にあり、ヘルメット条例がその隠れ蓑であるなら、かなり筋が通って来ました。


「しまなみ海道」サイクリング振興県として観光客を呼び込むために、県民みんなにモデルのように「ヘルメットをかぶって楽しくサイクリング」を演じて欲しいのかな。

 

その折角の条例も守ってくれないので、一番狙い安い、県の直接力の及ぶ県立高校生がターゲットになった!

そう考えると、すべて論理がつながってしまいました。

ほぉ。



Critical Thinking

Step Four: Avoid Emotional Reasoning 「感情的な理由づけは排除」

Analyze Your Assumption 「思い込み、偏見を排除」


「では、あなたは高校生にはヘルメットはいらないって言うんですか?」

という感情的反論はクリティカルシンキングではタブーです。


ここで検証しているのは、「ヘルメットの是非」ではなく「県立高校生ヘルメット義務化の理由づけの正当性」ですから。


愛媛の高校生にも一言。

「ヘルメットかっこ悪い~!」と騒ぐ前に、自分の自転車マナーをよ~く考えなおすきっかけにしてほしいです。


自分たちもルールを守っていないという弱みがあると、県の非論理性をつくことすら出来ないですからね。


そして、視点を180度転換してみると。

ヘルメットは確かに自転車に乗る自分を守るのに役に立ちます。

ただ、難点は「かっこ悪い」「髪型が壊れる」などなど。


そんな問題を解決しようと Sweden のEntrepreneur (起業家)がこんなヘルメットを開発しました。

透明なヘルメットです。

 

興味のある方はぜひ読んでみて下さい



Critical Thinking

Final Step: Tolerate Uncertainty 「不確実なことにも耐えること」


どうやら、今回の「県立高校生ヘルメット義務化」は余りにも裏が見え見え、不完全で、うまくいかない可能性が高いかもしれませんね。


例えば、一人の県立高校生と、一人の私立高校生が一緒に自転車に乗っていて、しかも二人ともヘルメットをかぶらずに。

誰がどう注意して、どんな罰則を誰に課すんですか?


そして、誰に権限があるんですか?

このUncertainty は想像するととても楽しいです。

みなさんもぜひどうぞ。



先ほどの透明ヘルメット。

もし、愛媛県が県民全員にこのヘルメットを無償配布するのなら、「しまなみ海道サイクリング振興」は、日本だけでなく、世界中の注目の的となること間違いなしだと思いますよ。


Think about it, Dude.

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カナダの小・中・高校の教育課程を基にした指導をしています。
クリティカルシンキングの基本が出来た生徒は「カナダの小さな町での留学・ボランティア」で自分本来の能力を発揮中です。
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