家を建てたい! から始まる家づくりガイド #9 - 新築住宅・注文住宅 - 専門家プロファイル

葛原 千春
クロノグラム アーキテクトスタジオ 代表
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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家を建てたい! から始まる家づくりガイド #9

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注文住宅 家を建てたい! から始まる家づくりガイド

経験や様々なメディアから、家づくりに役立てて頂きたい情報をお届けいたします。今後の家づくりのご参考にして頂きますれば幸いに存じます!

第9回目は

第3章 『住まいの基本性能』

(1)構造体:W or RC or S 


[W:木造について]

住宅の構造体で一番多く採用されているのが「木造」であることは、皆さんご存知かと思います。多くの場合、在来軸組工法、ツーバイフォー(2x4)工法(枠組壁工法)が殆どを占めていますが、最近は木質ラーメン構法や、ハウスメーカーさん独自の工法(構法)もあります。

在来軸組や2x4はオープン工法と呼ばれ、社会一般に詳細な工法のしくみが公開されているので、設計者・工事者・大工さんは公開されているルールに従い構造体を構築していきます。

それぞれの工法は歴史もあり、技術的な指針も広く周知されていますので、例えば20年後にリフォームをしたいとか、一部傷んだ構造体を補修するとなった時でも安心です。それは図面や現況を見れば、木造をある程度経験している建築関係者であれば解決策を考え、工事をすることが可能であるということです。

非常にコストパフォーマンスの優れた構造であると言えます。木造はセオリーに従って設計・工事を行えば永年に渡り優れたパフォーマンスを発揮します。軽くて丈夫で長持ちな家にするためには。。。

・木材は乾燥状態をキープしておくと長持ちしますので、外壁通気工法を採用しましょう。最近は第三者による瑕疵保証制度の規定で常識となっています。通気工法を採用すると、木材の呼吸を助ける。外気温の影響を緩和する。外壁の表面から侵入した雨水が直接構造体に染み込むことを防止出来る。などのメリットがあります。

・空調した空気が外に逃げない様に気密化するとともに、壁内結露を生じさせないように「透湿気密シート」で気密と湿気を逃がす措置が必要です。また、外壁(特に北側)に熱容量の大きな分厚い石やタイルなどを使用するときは特に注意が必要です。冬の冷たさを石やタイルが貯めこんでしまい、構造壁を低温化させ、結果壁内結露が生じ木材を腐らせてしまいます。

[RC:鉄筋コンクリート造]

コンクリートの圧縮に対する頑丈さ + 鉄筋の引張に対する頑丈さを兼ね備えた構造です。ダムや高速道路の高架など大規模な建造物にも採用され構造体の中では一番頑丈なイメージがあります。また大空間や大開口にすることが出来たり、木造では不可能(※)な4階建て以上の構造にすることも可能です。耐震性・耐火性にも優れていますが、自重が重いので杭工事が必要になる場合が多いことや、コストが高いなどのデメリットもあります。また、木造に比べ壁が分厚くなりますので、一般的な住宅規模ではその分スペースを使います。※:最近では法制化されたこともあり、木材の大断面柱・梁による大空間や4階以上の階を持つ木造の建物が出てきました。

[S:鉄骨造]

鉄自体は火に弱いため耐火被覆をしっかり行うことと、溶接やボルト止めの施工精度が要求されます。従って信頼のおける施工会社に頼む必要があります。重量鉄骨造の場合は柱・梁の形が室内空間に出やすい構造ですので、設計上うまく空間に取り入れる必要があります。RC同様、大空間・大開口・高層住宅が可能な構造体です。最近は軽量鉄骨で3階までであれば、木造住宅の様な壁の厚さや梁の大きさで、頑丈に造ることも可能になってきています。(木造よりコストは高くなります)以上のように様々な構造がありますが、大空間・大開口・耐震性や耐久性とコストパフォーマンスを考慮した上で構造を選定する必要があります。

次回は (2)軟弱でも安心の地盤補強 です。



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