対象:住宅・不動産トラブル
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中古住宅を購入しました。ところが、現在の売主の前にその住宅を所有していた人が死んでいることが分かりました。相続人不存在で競売に出され、売主の宅建業者が落札したそうです。仲介業者の担当者は「事業失敗で競売された」とだけ説明していました。売主の宅建主任者からの重要事項説明でも何も知らされませんでした。相続人不存在と事業失敗とを合わせて考えると、借金が多すぎて相続放棄かと思いますが、推測に過ぎません。契約時、売主の宅建主任者に「前の所有者さんは今どうしているのですか。どこかで穏やかに暮らされていると安心なんですが」と質問したのですが、「そうですよね〜」とうまくはぐらかされました。家内とは「事業に失敗したんだって。僕達も少し金運が悪くなるかも」と冗談で話をしていましたが、前の所有者が死んでいたとはショックでした。実は家内が重い病気で、私達夫婦にとって「死」は身近なシビアな話です。仲介業者の担当者さんは前の所有者が死んでいたことは知らなかったと言います。仲介業者の宅建主任者は書類上の名前だけで実際には現われたことがありません。売主の宅建主任者は「仕入れ部門と販売部門は社内で別で知らなかったし、その家で葬式を出したわけではないので重要事項ではない」と言います。家内が病気であること、借家住まいでは改築ができない、家内の看病や介護のために改築自由な自分の家が欲しいという話は仲介業者には散々していました。葬式の話は近所の人の話と食い違っていて、近所の人によれば葬式を出したそうです。金運ならともかく、死んで相続人もなく家が絶えたような家に住むのは、家内の病気が命にかかわる病気だけに抵抗感があります。事前に知っていれば買いませんでした。契約の解除はできないのでしょうか。さすがに契約の解除はできないとしても値引き、あるいは金銭的なことは抜きにしても誠意ある謝罪くらいはしてもらいたいと思います。
ぽろろんさん ( 東京都 / 男性 / 38歳 )
回答:2件
不動産の前の所有者の死亡と重要事項説明
ぽろろん様、こんにちは。弁護士の豊崎です。
前々所有者がどのような経緯でその家を手放したかについては、重要事項にあたるかどうかはかなり微妙であると思われます。例えば、その物件で自殺があったとかであれば、告知する義務がありそうですが、単に志望して葬式があったくらいのことだと、客観的に見て告知すべきだったかどうかも微妙です。
責任があるとすれば、重要事項にあたらないとしても虚偽説明があったという点ですが、これも明白な証拠がないと、結局虚偽説明があったことの証明ができないので責任逃れされてしまう可能性が高いと思われます。以上、かなり否定的な見解で申し訳ありません。
評価・お礼
ぽろろんさん
御回答ありがとうございます。
御近所の方も隣家が空家のままは嫌なのか、購入を勧める話ばかりでうっかりしていました。
中古住宅でそこに住まれていた方々で誰も亡くなっていないところも多々ある訳で、このQ&Aを読まれた方は、私の反省を糧にしてもらえればいいなと思います。
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不動産の前の所有者の死亡と契約の解除等
弁護士の七字と申します。
購入した建物内で自殺があったような場合であれば、契約の解除(民法570条に基づく解除)を認めた判例がいくつかあります(横浜地判平成元年9月7日・判時1352号126頁、東京地判平成7年5月31日・判時1556号107頁)。
上記判例は、売買の対象となった建物内で自殺があったような場合に、「売買の目的物」に「瑕疵」(「かし」と読みます。欠陥という意味です。)があったと認めて、解除を認めたものです。
ただ、豊崎先生もおっしゃられているように、「自殺」ではなく、単に、その建物内で亡くなられた方がいるということであれば、建物に「瑕疵」(民法570条。)があったとまでいうことは難しく、契約を解除するのは、なかなか難しいように思います。
ただ、貴殿が住宅を探される際に、仲介業者に対して、建物の来歴等を重視していることを強調され、「これまでその家で死者が出ていないか」否か等を再三確認しているような事情があった場合は、錯誤(民法95条)による契約の無効を主張できる可能性があると思います。
詳しい事情がよくわからないため、即答はできませんが、質問に記載された事実のみを前提にすると、豊崎先生と同じく、今回のケースでは、解除や契約の無効を主張するのは、難しいのではないか、というのが率直な感想です。
ただし、法律論はともかく、相手方に誠意ある謝罪を求めることは、当然あってよいと思います。
評価・お礼
ぽろろんさん
御回答ありがとうございます。
判例や民法に従って回答していただき、弁護士先生に御回答していただいた甲斐があります。
仲介業者には話し合いを申し入れました。解除や無効、金銭賠償を求めるつもりもいまさらないですが、少しでも気持ちの整理がつくような話し合いができればよいなと思っています。
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