- 乾 喜一郎
- 『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長
- キャリアカウンセラー
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
男子学生や既卒者(高校新卒以外の、社会人経験者や大学卒業者のこと)が増えたためです。
『ヘルプマン』 9~10巻は、そんな男子学生の一人を主人公にした「介護福祉学生編」。
印象的だったのは、主人公の男の子が住む団地の自治会の寄り合いのシーン。
独居のお年寄りの「孤独死」を防ぐために何をするか、という話し合いの中で、
男の子(と、それを手助けする社会福祉士・仁)によって、
<「本人の意志」が存在していること>に皆が直面するくだりです。
出席している住民は、みな「善意」なのだけれど、
当事者であるお年寄りを慮るばかりで、実際に聞いてみようとはしません。
「失礼なのでは?」「こちらは善意だし」・・・
それを打ち破ったのが、主人公が直接相対している「蝶子さん」の悪態。
善意だからこそなかなか気づくことができない、「本人が何を望んでいるのか」。
ヘルプマンが素敵なのは、最初っから
必ずこの「本人の意志」を真ん中に据えていることだと思います。
とはいえ、コトバにすることは楽でも、実際に仕事をするとなると、いいことばかりではありません。
高齢者の状況はお一人おひとり違うから、どうケアするかもすべて個別。
「作業」の量は増えこそすれ、減ることはない。
でも福祉に関わる多くの方々のお話しを取り上げてきて、
長く続いてらっしゃるかたに共通しているなあ、と思うことは、こうした
当事者の方「ご本人の喜び」がモチベーションの源になっていること。
「ありがとう」の言葉とは少し違います。
それももちろんあるのですが、ケアをする自分との関係上での気持ちじゃなく、
当事者ご本人の満足を、目の当たりにすることで、
自分の仕事の価値を実感されているのだなあ、と思います。
もちろん、いつもいつもそんな実感が得られるわけじゃありません。
10巻でも、仁が最初の頃に担当した青木さんを訪ね、
直接のやりとりをしているシーンが出てきます。
青木さんは、仁の今の仕事のお客さんではありません。
例えば、何かやりきれないことがあった時でも、
そうやって直接お客様だった方とお会いすることで復活できる。
(仕事は違いますが、私も何度も、そうやって「昔のお客さん」に
助けていただいたことがあるので、余計にそんな風に思えるのかもしれません)
この作品、私が特に素敵だなあと思うところは、
生まれながらのモチベーションをもっていそうな百太郎よりも、
意志の強さの裏腹に、何度もうちのめされそうになる仁が、
そういうふうに当事者の高齢者から助けられて復活し、仕事を続けていけているところなんです。¥540Amazon.co.jp
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このコラムの執筆専門家
- 乾 喜一郎
- (キャリアカウンセラー)
- 『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長
働く個人の側に立ち、資格や学びを活用したキャリアづくりを提案
編集長を務める資格や大学院の専門誌をはじめ、就職、転職、U・Iターン、進学とこれまで一貫して個人のキャリアを提案するメディアを作ってきました。これまで取り扱ってきた3000人以上にのぼるライフヒストリーを元に、リアリティのある情報を提供します。
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