着地型観光の3類型 - 地域活性化・町おこし - 専門家プロファイル

井門 隆夫
株式会社井門観光研究所 代表取締役
東京都
マーケティングプランナー

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対象:イベント・地域活性

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旅館が着地型観光に参入

今日は高知でまち歩き。高知の老舗旅館「城西館」が立ち上げた旅行業事業部「とさ恋ツアー」に参加。コンシェルジュの近澤真弓さんの楽しいガイドに参加者も盛り上がっています。

これは旅館が「着地型観光」に参入した事例。いきなり連泊まではいきませんが、付帯売上や満足度向上に寄与しているそうです。

着地型観光の3類型

着地型観光には3類型あります。

その第1は、旅行業が自ら行う着地型観光。全旅の「地旅」等がこれに該当します。この場合、宿泊や貸切バス等の二次交通を伴うのが特徴。本格的なツアーですが、仕入コストがかかるため、どうしても団体ベースになり、個人客には対応しにくい面があります。ただし、最終的にはここまで着地型観光が育ってくることが理想です。

第2は、観光協会などが主体となり、旅行業免許を取得するなどして取り組むケース。この場合、宿泊や二次交通のリスクを抱えず、日帰りウォーキングツアーが多いのが特徴です。比較的簡単に立ち上げられ、個人客対応も万全ですが、売上は小さく、社会起業的側面があります。地域を盛り上げるには良い手法ですが、市場を大きくしていくには、相当の催行本数が必要です。どれだけ市民を育て、市民が参加するかが成功の鍵となるでしょう。

第3は、先に述べたように、地元の宿泊業者やランドオペレーターが旅行業を取得して展開するケース。まだ事例は多くありませんが、旅行商品として「素材」となるべき方々が主体となるため、その「コスト」を事実上内包できる効果があります。自らの売値ではなく、原価をコストとして見るからです。

立場による意見・感覚の違い

先日もある市の研修会で、旅行業の方は「着地型観光は赤字覚悟」とおっしゃり、行政の方も「手間の割に効果がない」と指摘するなかで、民宿やペンションの方は「赤字になる理由がわからないし、確実に売上貢献する」とお話しされていました。

感覚の差だと思いますが、着地型観光の成功の秘訣が隠されているような気がします。まずは、宿泊業がその気になること。それが着地型観光の第一歩のような気がします。

(トラベルニュース 井門隆夫のCS宣言 10月25日号)

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