米国特許法改正規則ガイド 第9回 (第3回) - 各種の特許・商標・著作権 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第9回 (第3回)

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米国特許法改正規則ガイド

第9回 (第3回)

当事者系レビュー(IPR)についての規則改正

河野特許事務所 2012年11月9日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

20.改正規則

改正法

副部B IPR

一般

規則  42.100  手続;継続

 (a)IPRは本部の副部Aに規定する手続きに従うトライアルである。

 (b) 権利が消滅していない特許のクレームは、それを含む特許の明細書を踏まえ最も広い合理的解釈によるものとする。

(c)IPR手続はその開始後審判部における係属が通常1年を超えないよう処理されるものとする。期間は行政特許審判長による正当な理由により最大6月延長または併合の際には審判部により調整することができる。

規則 42.101  IPRを請求できる者

以下の場合を除き、特許権者でない者はUSPTOに特許IPRを開始する請求を提出できる:

 (a)レビュー請求が提出される日以前に、請求人または利害関係のある実際の当事者が、当該特許クレームの有効性を争う民事訴訟を提起している場合。

 (b)手続を要求する申し立てが、申立人、申立人の利害関係のある実際の当事者、または申立人の利害関係人が特許侵害訴訟を提起した日から1年を超えて提出された場合。

 (c)申立人、申立人の利害関係のある実際の当事者、または申立人の利害関係人が、請求において特定される理由について当該クレームを争うことに関し禁反言が成立している場合。

規則  42.102  提出時期

 (a)IPRの申し立ては以下より遅い時期に提出しなければならない。

  (1)特許発行または再発行特許の発行の9ヵ月後の日;または

 (2)本部の副部Cに規定されたPGRが開始された場合、当該PGRの終了した日

 (b)長官はUSPTOの官報または連邦公報にて通知を行うことにより、米国特許法第31章についてなされた法改正が施行された最初の4年間のうちの1年間毎に開始されるIPRの数に制限を課すことができる。設定された制限に達した後の申し立ては、時機を逸したと見なされる。

規則  42.103  IPRの料金

 (a)規則42.15(a)に規定するIPRの料金は申し立てに添付しなければならない。

 (b)完全な料金が支払われるまで、申し立てに対する提出日は付与されない。

規則  42.104  申し立ての内容

規則42.6, 42.8,42.22及び42.24の要件に加えて申し立ては、以下を明記しなければならない。:

(a)当事者適格の理由。申立人は、レビューが求められる特許に対しIPRが可能であることと、申立人が、申立書において特定された理由により特許クレームに対し行うIPR請求を、または、禁反言により制限されたりしないこととを明確にしなければならない。

 (b) 争点の特定。争われるクレームの各々について請求された正確な救済手段(relief)に係る陳述を提供すること。当該陳述は以下を特定しなければならない。

 (1)クレーム

 (2) クレームに対する争点が依拠する米国特許法第102条または103条に基づく特定の法定理由、及び、各理由が依拠する特許または刊行物

  (3)争われたクレームがどのように解釈されるか。解釈されるクレームが米国特許法第112条(f)に基づき許可されるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクション限定を含む場合、クレームの解釈は、各クレームされた機能に対応する構造、材料または作用(acts)を記載した明細書の具体的部分を特定しなければならない。;

 (以下、省略)

規則  42.105  申し立ての送達

規則42.6の要件に加えて、申立人は、以下に従い、申し立て書及び申し立て書中で依拠する申し立て書及び添付書類を提供しなければならない。

 (a)申し立て書及びサポートする証拠は、対象特許の記録上の住所宛に特許権者に対して送達されねばならない。申立人はさらに、送達可能と思われる他の住所が分かれば、その住所宛に特許権者に対する申し立て書及びサポートする証拠を送達しても良い。

(以下、省略)

規則  42.106  提出日

 (a)完全な申し立て。IPRを開始するための申し立ては、当該申し立てが以下の全ての要件を満たさない限り、提出日を得られない。

 (1)規則42.104に従うこと。;

 (2)規則42.105(a)において規定されたとおり、記録上の連絡先住所に申し立て書の送達を行うこと;及び、

 (3)規則42.15(b)における提出費を伴っていること。

(以下、省略)

規則  42.107  申し立てに対する予備反論

 (a)特許権者は申し立てに対し予備的反論を提出することができる。当該反論は、なぜ米国特許法第314条に基づきIPRが開始されるべきでないかの理由を記載することに制限される。反論には、本セクションパラグラフ(c)で規定された場合を除き、証拠を含めることができる。この予備反論は規則42.24に基づくページ制限が課せられる。

 (b)期限。予備反論はIPRを開始するための請求が提出日を与えられたことを示す通知日以後3月以内に提出しなければならない。特許権者は、予備反論の放棄を選択することにより手続を早めることができる。

 (c)新規供述証拠の禁止。審判部により権限を与えられた場合を除き、予備反論は既に記録されたもの以外の新たな供述証拠を提示しないものとする。

 (d)補正の禁止。予備反論はいかなる補正も認めないものとする。

 (e)特許クレームの放棄。特許権者は、本章規則1.321(a)( ターミナルディスクレーマーを含む法定の権利の部分放棄)に従い米国特許法第253条(a)に規定する法定の放棄を提出することにより、当該特許の一または複数のクレームを放棄することができる。放棄されたクレームに基づいてIPRが開始されることはない。

IPRの開始

規則  42.108  IPRの開始

 (a)IPRを開始する場合、審判部は争点となるクレームの全てまたは一部について、また、各クレームに対し主張された非特許性についての全てまたはいくつかの理由について進めるべくレビューを許可することができる。

 (b)IPRを開始する前にはいつでも、審判部は争点となるクレームの一部または全部について、全ての非特許性についての理由の一部または全部を否定することができる。理由の否定は、IPRを当該理由により開始しないという審判部の決定である。

 (c)十分な理由。IPRは、審判部が、理由をサポートする申し立てが、申し立てにおいて争点となっている少なくとも一つのクレームが、特許性がない合理的見込み(reasonable likelihood)を明示していると判断しない限り、非特許性の理由に対して開始されないものとする。審判部は、特許権者の予備反論が提出された場合、その反論を考慮するものとする。

IPRの開始後

規則  42.120  特許権者の反論

 (a)範囲。特許権者は、まだ否定されていない非特許性に関する理由を言及する申し立てに対し、反論を提出することができる。特許権者の反論は異議(opposition)として提出され、規則42.24に規定するページ制限の対象となる。

 (b)反論期日。申し立てに対する特許権者の反論を提出する期間が審判部において命じられていない場合、基準となる特許権者の反論提出日はIPRの開始から3月である。

規則  42.121  特許の補正

(a)補正の申請。特許権者は審判部と協議した後に限り特許の補正を1回申請することができる。

 (1)期限。審判部の命令において期限が設定されている場合を除き、補正の申請は特許権者の反論の提出前になさねばならない。

 (2)範囲。以下の補正の申請は否定され得る。

 (i)補正がトライアルに係る非特許性の理由に対応するものでない場合、または、

 (ii)補正が特許クレームの拡大を求めている場合、または、新規事項を追加している場合。

 (3)合理的な代替クレーム数。補正の申請により、争点となっているクレームのキャンセル、または、合理的な数の代替クレームの提案を行うことができる。争点となっている各クレームを置き換えるために必要な代替クレームは一つのみであると推定される。当該推定は必要性を示す事により反証することができる。

(以下、省略)

規則 42.122  複数の手続及び併合

(a)複数の手続。当該特許に係る他の事件がUSPTOに存在する場合、審判部はIPRの継続中、そのような事件の中断、移送、併合または終了を含む追加の事件に関する適切な命令を下すことができる。

(b)併合申請。併合は特許権者または申立人により請求される。併合請求は、規則42.22における申請として、併合が請求されるIPRの開始後1月以内に提出しなければならない。規則42.101(b)(特許侵害訴訟提起1年後のIPR請求の禁止)に規定された期限は、申し立てが併合請求を伴う場合、適用しないものとする。

規則  42.123  補足情報の提出

 (a)補足情報の提出申請。トライアルが一旦開始されると、当事者は以下の要件に従い、補足情報の申請を提出することができる。

 (1)補足情報の申請を提出するための許可請求が、トライアルが開始された日から1月内になされた場合。

 (2)補足情報はトライアルが開始されたクレームに関係していなければならない。

 (b)補足情報提出の遅延。トライアル開始から一月後に補足情報の提出を求める当事者は、当該情報の提出申請を行うための許可を請求しなければならない。補足情報の提出申請は、補足情報を合理的に早期に得ることができなかった理由を示さなければならず、かつ補足情報の考慮が司法手続き上必要であることを示さなければならない。

 (c)他の補足情報。トライアルが開始されたクレームとは関係のない補足情報の提出を求める当事者は、当該情報の提出申請を行うための許可を請求しなければならない。当該申請は、補足情報を合理的に早期に得ることができなかった理由を示さなければならず、かつ補足情報の考慮が司法手続き上必要であることを示さなければならない。

 

                                                              以上

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