建物を免震させる方法は多数あります。どの方法にも共通していることは建物と地面を切り離す事です。しかし、建築基準法では、建物は基礎によって地面と強固につなげる事を義務付けされています。
ですので、地面と建物を切り離すには、建築基準法に拘束されない国交大臣の大臣認定が必要になるのです。
大臣認定されている免震装置は大別して、ゴム免震・滑り免震・転がり免震の三種類があります。
【ゴム免震】
ゴム免震は基礎とその上の上部構造部との間にゴムと鉄板を重ねた積層弾性板を挟み、基礎が地震で揺れても上部構造部には揺れを伝えない構造になっています。ゴム免震は基礎と上部構造部とを明確に切り離す事をせず、ゴムの伸び縮みで免震効果を発揮させようとするものです。と云っても建物の重量を支えるのですから、相応に硬く上部に造らねばなりません。ですので石造や鉄筋コンクリート造の様な重い建物でないと免震しないと云われています。木造の様な軽い建物でゴム免震を使用するとしたら、相当弱い積層板を使用せねばならず、通常の維持管理で劣化してしまう恐れがあります。
【滑り免震】
滑り免震は、ゴムの積層板の代わりに半円球の様な接点の少ないものを用いて、基礎の上を上部構造部が滑る様に工夫された装置です。比較的安価に免震が可能な建物が出来ますが、地震後に建物が原点に復帰させるのに別途家曳き工事が必要になります。簡単に原点復帰出来る方法が考案されれば安価と云う強みを発揮して免震建物が普及するのではと思われます。
【転がり免震】
基礎と建物の間に砲丸投げに用いる金属球の様な鋼球を入れて、免震させる装置です。摩擦係数が最も小さく木造の様な軽い建物では最も免震効果を発揮します。逆に摩擦係数が小さ過ぎて人が押しても建物は動いてしまいます。地震以外の力で動かない様にするのに大きな費用が発生しています。性能は優れているのですから、政府が地震対策に真剣に取り組むのなら、太陽光発電並みの助成を行って普及促進を図るべきです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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また、IAU型免震住宅設計資格取得者として、免震住宅等の相談も行っています。
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