2 遺留分算定の基礎となる財産
被相続人が相続開始時において有していた全財産にその贈与した財産の価格を加えた合計の金額から,債務の全額を控除して算定されます(民法1029条)。
遺留分算定の基礎となる財産=「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額」+「贈与した財産の価額」-「債務」 |
贈与は相続開始前1年以内のものが加算されます(民法1030条前段)。これは,贈与契約の時点が基準になります。したがって,1年以上前に締結された贈与は,相続開始前1年以内に履行されたとしても,加算されません。
相続開始前1年以内でなくても,遺留分権利者への損害を知って贈与した場合には,加算されます(民法1030条後段)。
共同相続人への特別受益とされる場合は,1年以上前の贈与もすべて加算されます(民法1044条・903条)。
不相当な対価でなされた有償行為は,当事者双方が遺留分権者に損害を加えることを知ってしたものについては,贈与とみなされます(民法1039条)。
遺留分算定の基礎となる財産の評価時期は,相続開始時点です(最判昭和51・3・18民集30巻2号111頁)。過去の贈与は,受贈者の行為によって滅失したり価格の増減があったりしても,原状のままであるものとみなして,相続開始時を基準に評価されます(民法1044条・904条)。
債権の場合,額面額ではなく,担保の有無,債務者の資力等を考慮した履行可能性を検討して,その価格を定めるべきとされます(大判大7・12・25民録24輯2429頁)。
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