コンサートのフィナーレは日中合同の大アンサンブルでした。
「瑶族舞曲」と「ラデツキー行進曲」の2曲をステージいっぱいの大編成で。
「瑶族舞曲」は中国の有名な舞曲で王家訓先生の編曲。
北原先生がソロマリンバ、王先生の指揮で演奏しました。
中国らしい曲想で客席も大盛り上がり。
私はラデツキー行進曲に登場。4番マリンバのパートの予定でしたが、こちらも急遽、打楽器にコンバート。
やはりマーチにはスネアドラムやバスドラムが入ったほうが音楽が引き締まります。
日本でのリハーサルの時に「本番はどのテンポになるんだろう?」と話題になりましたが、本番は大方の予想を覆す速めのテンポでした。
例のごとく客席から手拍子が聞こえてきて、一体感に包まれながらコンサートを終えました。
セッティング係としての仕事について。
日本側のグループのセッティングは日本側で、中国側のグループは中国側で、を基本におこないました。
日本のグループから中国へ、中国のグループから日本へと国が入れ替わる場面がいくつかあったのですが、リハーサルを進めるうちに自然と協力し合うことができました。
「次のグループで用意する楽器はある?」
「人は足りてる? 手を貸そうか?」
そのようなコミュニケーションが次第にとれるようになってきました。
とはいっても私達は日本語と英語を混ぜながら、相手側は中国語でのやりとりなので、言葉は通じていません。
セッティング表を使いながら楽器の移動を指で指し示したり、ジェスチャーを混ぜながら会話したり。
そんな感じでしたが、打ち合わせどおりに楽器がセッティングされている様子を見ていたら「通じていたんだな。」ということを確認できました。
「音楽は国境を越えられる」ということを体感できた瞬間でもありました。
コンサートで全てを出し切ったせいでしょうか、翌日は体調を崩し半日は安静にしていました。
余力を残さない、ある意味自分らしいできごとではありましたが。
それでもせっかく北京に来たので、午後は歩いて故宮博物院に出かけました。
紫禁城や天安門を見学。
奈良の東大寺のような構成でしたが、やっぱりこっちが本家! 広い!
見物客を見ると中国国内から旅行に来たと思われる方々が多いように見受けられました。
その土地に出向き、その土地の空気をすって、その土地を歩く。旅らしい日程ではない中での貴重なひと時でした。
日本と中国の間で最近、騒がしい様子ですが、ひとりひとりは決して敵対する関係ではなく、また、敵対することを望んでいないと思います
私は音楽を通じてできることをこれからもおこなっていこうと思っています
人生の中で貴重な体験をさせていただいた演奏旅行でした。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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