- 中山 峰生
- 建築家
対象:住宅設計・構造
閑静な住宅街にたたずむ新築後35以上を経過した地上2階建ての木造住宅の場合でした。
隣接して立っていた建物がある日、売却されることになり、その敷地跡に高層マンションが建設されることになりました。
交通の便のいい都心であれば比較的目にする光景であると思われます。
しかし、この高層マンション建設予定地には、建物があり、その建物の解体工事がおこなわれる事となりましたが、工事業者からは「十分気をつけて行ないます。」との工事説明だけで解体工事がおこなわれました。
工事中は大きな振動や騒音がありとても大変な思いをしました。
そしてすぐに高層マンションの新築工事が進められ、地下工事が始まった頃、住宅に異変が感じられるようになつたそうです。
あわてて工事業者に相談したところ、初めて住宅の家屋調査を行なうこととなりました。
一般的には、高層マンション等の大型の建物を建てる場合は近隣の住宅等については、工事着手前に、家屋調査等を行います。これは工事が終わった時に工事作業による建物被害が発生してないかどうか確認することが出来るようにするために行なわれています。しかしこの工事においてはそのそのような対応がなされないまま工事がおこなわれたのです.
その結果、住宅の傾きが発生し、工事着手前に取り決めをしていなかったので話し合いがつかず工事業者とトラブルになり相談にこられた事例です。
近隣に大型の建物建設又は建物の解体工事等が行なわれる場合については特に工事による被害発生を想定することが非常に難しいため、専門家に相談し工事に関する被害発生予想に関する検討をしておくことが必要です。
工事着手前に工事業者と対応について取り決めをしておくことが非常に重要なことです。