- 小岩 広宣
- 社会保険労務士法人ナデック
- 社会保険労務士
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
派遣社員を海外に出張させる場合は、派遣契約に付随業務として海外に出張させることがある旨をうたっておく必要があります。
派遣先が同派遣先の国内の事業所への出張を派遣社員に命じる場合は、派遣契約にその旨の定めをおく必要がありますが、派遣契約にそのような定めがなかったとしても、派遣契約の業務を遂行するために必要な出張であることが明確である場合は、派遣契約に包括された付随業務と認められうるケースもあります。
ところが、海外に派遣する場合には、そもそも海外派遣を行なうことについて、原則的には厚生労働大臣への届出が義務づけられています。
労働者派遣事業業務取扱要領では、
海外派遣に該当するか否かの判断には極めて微妙な要素もあることから派遣先が国内に所在する法人又は個人である場合における当該派遣先の海外の事業所その他の施設において就業する労働者派遣であって、当該労働者派遣の期間がおおむね1か月を超えないものについては海外派遣には該当せず、当該届出を要しないものとして取り扱って差し支えない。
とうたわれています。
したがって、海外派遣にはあたらない場合でも、派遣契約での定めなく海外への出張を命じることはできません。
なお、労災の海外派遣者の特別加入は、海外支店の駐在員として常駐する場合や、海外の関連会社に出向する場合等に任意加入すべきものであり、そもそも海外出張の場合に適用されるものではありません。
派遣契約に海外勤務のことがうたわれていないとしたら、大きな問題です。事前に派遣社員の同意を得た上で、派遣契約の内容の変更と就業条件明示書の変更を行なう必要があります。