- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
日曜日、娘が短期留学で海外に飛び立ちました。自分で全てを決め手配し、初めてのひとり旅。いい経験となる事でしょう。親としては、楽しい経験をし、無事に帰ってくる事を願うばかりです。
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娘が乗った飛行機が離陸した時から、妻は「寂しい」と言いました。そして・・
「いつかはふたりになっちゃうんだね。。 そうゆう練習なんだね・・・」と。。
頭では、いつか子供達が独立して夫婦ふたりになる事はわかっていても、大きくなったとはいえ目の前に子供達がいる状態では、まだまだずっと先の事のようで、「ふたりの暮らし」を現実的には考えられません。でも今回のように(短期とはいえ)家からひとりいなくなってしまうと、そう遠くではないんだな、と意識する事になりました。
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以前 50代からの家づくり についてブログに書いた事があります。今回のような体験をし、現実に「次の段階」を意識してみて、もう一度書いてみようと思いました。
30代・40代はまさに子育てに集中している期間です。家づくりにおいても、「お子さんの事」が主要な要素になります。でも、50代になると、その終わりが見えてきます。
50代からの家づくりは、その終わりの先にある「次の段階」を強く意識しておく必要があると思います。「人生感の転換」と言えるかもしれません。
その転換を迎えた時、住まいについてはいろいろな選択肢があります。
・ もっと便利な場所に住みたい
・ もっと自然の豊な場所に住みたい
・ 兄弟(姉妹)や、友達のいる近くに住みたい
・ 一戸建てからマンションに住みたい(またはその逆)
・ 大きな家は必要ないから小さな家に住みたい
・ もっと広々とした家に住みたい
など。
大きな土地、大きな家 にお住まいの場合には、敷地内に子供に家を建てさせたり、家を改修または建替えて2世帯住宅にするという選択肢も出てくるでしょう。
今現在お住まいの家は、お子さんそれぞれに個室を作っている場合が多いと思います。(マンションの場合にも)でも限られた面積の中で部屋をたくさん作る場合には、夫婦もひと部屋であり、リビングなどの個室以外の要素が小さくなる場合もあります。(結構がまんしてる部分が多い・・?)
お子さんが独立し、個室に空き出来ると、それを夫婦それぞれの部屋にしたり書斎にしたりして使う事も多いと思いますが、「それからの暮らし」をより快適に、使いやすく、楽しく暮らしができるように見直して、全部を作り変えるという事もまた 選択肢として考えてもいいのではと思います。寸法的に余裕を持つ事や掃除のしやすさ・行動のしやすさという視点も重要になります。
また、これから家を作られる場合には、個室を無くした、または減らした時の将来像を描いた上で考えてもいいかもしれません。間仕切りを簡単に壊せるように作るとか、収納家具で仕切っておくという方法もあります。(もっと極端に、ある程度子供が大きいとしても極限まで小さな個室にして居心地を悪くし、必然的にリビングなどに居るしかなくして、限られた家族の時間を無理やり作ってしまうという事も・・・。)
いずれにしても、「ふたりの暮らし」という「次の段階」は現実に迫ってきますので、家を含めて、「その時」を意識し、構想し、準備しておく事が大切ではないかと思います。
子供が独立し夫婦ふたりになった時 、その時初めて気が付いて「ふたりぼっちになっちゃった。。」なんて寂しさと悲しみで一杯にならないようにしたいものです。そして「ふたり暮らし」がさらに「個人個人」にならず、またはストレスにならず、ともに楽しく生きていきたいですね!
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