- 高安 重一
- 有限会社アーキテクチャー・ラボ 代表取締役
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「天皇ヒロヒト」(L・モズレー/毎日新聞社)
昭和41年の6月に出版されているので、
僕が生まれる1ヶ月前に出た本ということになる。
そしてこれは高校を卒業して大学へ行くときに、父親の本棚から抜き取ってきた本。
まあ、父親とはそれほどコミュニケーションをとってこなかったから、父親が何を考えているかを知らないまま家を出ることになるので、本棚を見ればその人がどんな人がわかるというので、父親の本棚を物色して毛色の違った本を見つけて、持ってきたという理由。
ただし、古くさい本だし、どういう路線の本かわからないので、
僕も今まで読まずに、ツンドクグループに紛れていた本。
なぜか、そろそろ読まないといけない気がして、もう茶色く変色した本を読んでみた。
この本は昭和天皇の伝記で、イギリスのジャーナリストの著者が皇室関係者や極東軍事裁判の生き残りの人達からの話を聞いて書いている。
昭和天皇が生まれた明治時代から大正を経て、クライマックスの終戦で本は終わっている。
特に1945年7月頃からの詳細は手に汗をにぎる内容で、戦争を終結させるべくソ連に近づくが、引き延ばされて広島と長崎に原爆が投下され、ソ連も急いで侵攻してくるくだりは一瞬の判断がこのような結果をもたらしたことがリアルに報告されている。
そして1945年当時、戦争を終結させるべき責任者達が強情で狂信的な中で、日本人の生活と思想の最高のシンボルである人が、心の底からの訴えの声を日本の歴史上前例のない詔勅を放送することに成功したことは、いま考えると幸せだと思う。
録音された玉音放送は、これを破棄しようとする動きの中をぬって劇的に行われたのである。
天皇をそれほど理解していなかったマッカーサーに天皇が出向いて、「日本の最高の紳士である」と認めたくだりはその人柄を良く表している。
たまたまこの時期に読んだけれど、今年の終戦記念日に間に合って良かったと思っている。
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