5月27日の日曜日の午後9時、この4月から「N響アワー」から「ららら♪クラシック」になりました。
久し振りに日曜日の夜に自宅にいられたので幸運にも番組を視聴することができました。
というのも今回のゲストはNHK交響楽団ティンパニ奏者の久保昌一さんで、ベートーヴェンの交響曲とティンパニ、ノリントンさんの音楽について等々、興味深く拝見しました。
指揮者のサー・ロジャー・ノリントンさんはイギリス生まれの指揮者で、特に古楽演奏では世界の第一線の指揮者です。
1978年にバロック時代の頃の楽器を使って演奏するオーケストラ「ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ」を立ち上げました。
バロック(バッハやヘンデルのいた時代)や古典(モーツァルトやベートーヴェンのいた時代)の楽器は「オリジナル楽器」や「ピリオド楽器」といい、この時代の演奏方法を「ピリオド奏法」といって現代に使われる楽器や奏法とは若干違います。
1990年代以降、古楽オーケストラブームがあり、ノリントン、ガーディナー、アーノンクール、ブリュッヘンなどの指揮者が注目されました。
その中でノリントンが注目されたのはピリオド楽器のオーケストラでブラームスやワーグナーなどのロマン派以降の作曲家の作品もレパートリーにしたことです。
私もピリオド楽器のオーケストラは大好きです。
そのノリントンさんが数年前から定期的にNHK交響楽団の指揮台に立ち、現在、N響とベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するプロジェクトを行っています。
今回の放送はその演奏会の中から交響曲第3番「英雄」を取り上げました。
「英雄」の演奏で使われる打楽器はティンパニですが、今回、N響はノリントンさんのために特別なティンパニ、ピリオド楽器のティンパニを用意しました。
番組では久保さんからノリントンさんとのリハーサルの様子、ピリオド楽器のティンパニと現代のティンパニとの違いを実演をしながらお話しされました。
「リハーサルではN響の音がまるっきり違いました。」、本番の映像を見終わった後に「この演奏会の映像を初めて見たけれども、こんなに違うんですね。」と驚かれながらおっしゃっていたのが印象的でした。
また、演奏中特別に「久保カメラ」を設置して久保さんのプレイを横からアップで見られたのには興奮しました。
この日の本番の演奏(今年4月)はNHK-FMで生中継され私も聴いていました。
ノリントンさんらしい歯切れのいいサウンド、それとは対照的に緩やかな部分でのサウンドの柔らかさ、独特なフレーズ感、を楽しむことができました。
ティンパニの音もいつもとは違う音で(生中継の時には古い時代のティンパニを使っていることは知らなかったので)ずいぶん音が明瞭に聴こえるなあと感じたことを思い出しながら番組を見てました。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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