中学入試 不合格に負けないために その1 - 中学校受験対策 - 専門家プロファイル

岡松 高史
岡松教育進学研究所 代表
愛知県
家庭教師

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対象:子供の教育・受験

大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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閲覧数順 2024年04月26日更新

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中学入試 不合格に負けないために その1

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3月下旬というこの時期、大学入試や高校入試に対しての「不合格に負けない」ならいざ知らず、中学入試に対して「不合格に負けない」などというタイトルのコラムは、時機を失しているのではないかと思われるかもしれません。合否の発表があってから、暫くたちますから。

 

そこでまず、なぜこのタイミングでこのようなタイトルのコラムを投稿するのか、から始めたいと思います。

 

「そこで……」と考えて、これまでに私が出会ってきた方々についてご紹介しようと考えていたところ、「典型的」と言ってもよいようなケースが、週刊誌のコラムに掲載されていましたので、それをご紹介します。

 

筆者は、藤原正彦氏です。氏は、ご存じの方も多いと思いますが、作家 新田次郎氏、藤原てい氏の次男で、数年前その著書『国家の品格』がベストセラーになった数学者です。

 

次に引用する文章は、『週刊新潮』2月9日号の「管見妄語」というコラムに「決戦の二月」というタイトルで掲載されていたものです。氏は、ご子息が小学入試に落ちた原因は、保護者面接での自分の発言にあるとユーモアを交えて紹介した後、次のように書かれています。少々長いですが、そのまま引用します。文中のアンダーラインは引用した岡松が引いたもの、「/」は段落になっていたところです。 

「小学校受験は落ちても本人はあっけらかんだから傷は浅いが中学受験は違う。二年間は塾に通わないと太刀打ちできないだけに落ちた時は落胆も大きい。本人よりも親の方だ。長男の中学受験は、ほぼ確実とされていた所が不合格だった。ショックを少しでも和らげてやろうと、発表帰りの母子と夕方の新宿駅で待ち合わせた。階段の暗い隅で消え入るように立っていた二人の姿が今も忘れられない。本人は間もなく立ち直り公立中学にもなじんだのに、女房の方は「あんなに細い身体で寒い北風に枯葉と一緒に吹き飛ばされそうになりがら頑張ったのに」と思い出しては半年もメソメソしていた。」

この後、氏は合格判定可能性30パーセントとされていた三男がその中学に合格したことを紹介した後、次のように締めくくっていらっしゃいます。

小学校から大学まで合格不合格をくり返したが、三男が二十五歳になった今、すべては子育て中のエピソードだ。/入試結果より本人のやる気や根性の方が人生にとってははるかに大切なことが(この「が」は「は」の誤植でしょうか…岡松)分っている。それでも塾通いの小学生が寒風に吹かれて歩いていると、思わず「頑張れ」と心の中で叫んでしまう。決戦の当日、試験場に入っていく女生徒が、愛弟子を励まそうと駆けつけた塾教師に声をかけられ涙ぐんでいる光景などを見ると、こちらまで涙ぐんでしまう。受験生頑張れ。」

 

ここで、中学受験を考えていらっしゃる保護者の方に押さえておいて頂きたいのは、「落ちた時は落胆も大きい。本人よりも親の方だ」という部分と「本人は間もなく立ち直り公立中学にもなじんだ」、「女房の方は『あんなに細い身体で寒い北風に枯葉と一緒に吹き飛ばされそうになりがら頑張ったのに』と思い出しては半年もメソメソしていた」、「小学校から大学まで合格不合格をくり返したが、三男が二十五歳になった今、すべては子育て中のエピソードだ」という部分です。

 

中学受験の最大の特徴は、他の受験と比べて親が関与する部分が極めて大きいということです。

もちろん、幼稚園、小学校の受験は親が関与する部分がより大きいのですが、コラム「成績不振の原因はナニ? 言い訳にしないために その2」でもお話ししたように、これらは「親が関与する部分が大きい」というよりは、「親そのもののありかた」が問われているため、事情が異なります。ざっくばらんに言えば、親は「落ちたら自分の責任」とストレートに思えますし(藤原氏のコラムにも、「子どもがケンカをしていたらどう言うか」という面接官の問いかけに、氏が「絶対に勝て」と指導していると言ったことが、小学受験の不合格の原因だと読ませる部分がありました。もちろんユーモアたっぷりの筆致で)、なおかつ、これも藤原氏のコラムにもあるように「本人はあっけらかん」なので、「親が子の心を慮って自らを責める」というようなことは起こりにくいと言えます。

 

しかし、中学受験は、ちがいます。「不合格という結果を得て、一番ショックを受けるのは、受験までに一番大きくかかわった大人だ」ということです。

「子のためを思ってしたこと」なのに、「子の心を傷つけてしまったのではないか」「子に無駄な時間を過ごさせてしまったのではないか」と自らを責めてしまうことがままあるのです。

 

このようなことをふまえて、私がここで「不合格に負けないために」とお話ししておきたいのは、受験生本人ではなく、親御さんに対してなのです

 

そして、この時期に「不合格に負けないために」というコラムを書いているのは、

「不合格に負けないために『保護者がなすべきこと、しておくべきこと』は、不合格になってからではなく、中学受験を考え始めた『今』から始めなくてはならない」

と思っているからです。

 

次の「その2」では、「どんなこと」を「なぜ」考えておかなくてはならないのかについてお話ししたいと思います。

ちなみに、このコラムは、コラム「成績不振の原因はナニ? 言い訳にしないために」と並行して書き進めていくつもりです。

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