緊急投稿 中学入試 入試直前期の過ごし方 「親は……」 その2 - 中学校受験対策 - 専門家プロファイル

岡松 高史
岡松教育進学研究所 代表
愛知県
家庭教師

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対象:子供の教育・受験

大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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閲覧数順 2024年04月24日更新

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緊急投稿 中学入試 入試直前期の過ごし方 「親は……」 その2

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今回は、『具体的な日々の過ごし方(過ごさせ方)について』お話しするつもりでした(「学校を休ませるかどうか」「休ませるのならいつ頃から休ませるか」「親子でどんな時間を過ごすか」などと言った内容です)が、ここへ来ていくつかの塾の指導に疑問が生じてきましたので、まず、そのことについて私見を述べておこうと思います。

私が、問題があると感じているのは(愛知県内の塾だけかもしれませんが、そのうちのいくつかは全国展開している塾なので、全国にあてはまるのではないかと思います)、次の2点です。

ひとつめは、志望校、受験校以外の過去問を「やたらと」解かせる

ふたつめは、はやく解けと「やたらに」指示を出す

まず、ひとつめの「志望校、受験校以外の過去問を『やたらと』解かせる」ですが、「志望校、受験校以外の過去問を解く(解かせる)こと」が一概に悪いと言っているわけではありません。志望校、受験校の過去問をある程度解き終えてしまった子に(「5年分でいい」とか、「いや、10年分は解かなくてはならない」とかいろいろ言われますが、出題傾向の変化がなく、解いた後でしっかりとふり返る時間がとれれば、10年以上遡ってもかまわないと思います)、他校の過去問の中から出題傾向が一致していることを「指導者がしっかりと吟味確認したうえで」解かせるのなら問題はないと思います。意図的か、偶然かはわかりませんが、私の専門の国語でも、○○校の物語と××校の物語は出題傾向が似ている(問題文の選び方が似ている、問いの設定や解答方法が似ているなど)ということはありますから、そうしたものを解かせるなら意味はあるでしょう。他教科でも同じです。しかし、いくつかの塾では、ここ数年間の同じ県内の私立中学入試の過去問を合本にし、「順に」、あるいは「ランダム」としか言いようのない選択で、「次はこれを解け」と指示を出しているようです。

愛知県内の国語で言えば、南山中学女子部志望の子に東海中学の課題作文を解かせる(書かせる)必要は全くないと言えます。南山中学女子部では、課題作文は一度も出題されていませんし、出題する予定だなどという発表もありません。もちろん、さらっと書ける子なら、時間の無駄という害のみで終わるのですが(それとて、この時期に無駄に時間を使う余裕などないはずですが)、書けずに時間を使い、なおかつそのことに悩み、自信を失ってしまう子もいるのです。また、特徴ある金城学院中学や海陽中等教育学校の入試問題を他校の受験予定者に解かせる必要はまずないと言えます(もちろん、指導者が細かく吟味し「この問いは似ている」と自信をもって言い切れるものなら解かせてもかまいませんが)。

志望校、受験校以外の過去問を「やたらと」解かせるのは、百害あって一利あるかないか、といった程度でしょうか。

ふたつめの「はやく解けと『やたらに』指示を出す」ケースですが、私は「スピードは、読むスピードにしろ、解くスピードにしろ、『徐々に』上げるもの、『徐々に』にしかあげられないもの、『徐々に』しかあげてはならないものだ」と考えています。もちろん、得点力が落ちようとどうなろうと構わないのなら別ですが。

まず、「問題文(課題文)を読むスピード」ですが、自分が理解できるスピードでしか読めないのは当たり前です。

また、「問いを解くスピード」についてですが、私はよく自動車学校の例を挙げて説明します。自動車学校では、発進までの手順をひとつひとつ教えていきます。そして、ひとつ「ずつ」実行させます。「後方確認」なんて、発信までに何度もするように指導された記憶があります(30年以上前なので不確かですが)。ですから、当然のこと、発進までには時間がかかります。路上教習中の車の後につくとイライラしてしまうこともありますし、教習車の後ろに何台もの車が数珠つなぎになっている光景もよく目にします。こんなに迷惑をかけているのに、なぜ指導者は「はやくしろ」と言わないのでしょう。なぜ「はやくする方法」を教えないのでしょう。理由は簡単です。自動車の運転で大切なのは、「はやく」ではなく「安全に」だからです。でも、ドライバーは、「徐々に」、はやくスムーズに発進させられるようになります。それも「安全に」です。これは、指導された手順を省いているわけではありません。慣れてくることで、「えっーと、次はどうするんだっけ」などと考える前に行動できるようになり、また、いくつかの行動を併せて行うことが可能になってくるからです。

問題を解くのも同じです。最初は「問いを読み、そこから本文(課題文)のどこに戻ればよいのかを判断し、あるいは、どのようにして戻ればよいのかを考え、本文の該当箇所を参照し、各選択肢と照合して、正解はどれかを判断する」という手順を、ひとつひとつ分けて覚えていきます。そのうち、問題を解く思考回路ができあがり、「徐々に」はやくなっていくのです。

そのようにしてやっと「安全に」今のスピードを手に入れた子に、いきなり「あと5分縮めろ」などという指示を出したらどうなるでしょうか。ほとんどの子が「手順を省きます」。一気に短縮するにはそれしかないからです。これは、「後方確認をせずに車を発進させる」のと同じです。事故を起こします。酷い指導者になると「なぜ、注意しないんだ」などと怒ります。自分が「はやくしろ」と言っておきながら、です。

自分は「はやくしろ」とは言っていない、と言うかもしれませんが、「時間内にできなかったら、宿題ね」という言葉の意味を考えたことがあるのでしょうか。「はやくしろ」という抽象的な指示より、より具体的に「はやくしろ」と言っているのです。ペナルティがつく分、より必死になって子どもたちはスピードを上げようとします。その結果、軽微な「事故」が「大事故」へとつながっていきます

そして、「はやく解け」という指導者が、ではそこで生まれた時間で何をしろというのかといえば「見直し」です。この「見直し」ですが、これについても考えがありますので、新しく「緊急投稿 「答案の見直しって、子どもにできるの……?」 とタイトルを改めてお話ししたいと思います。

とりあえず、保護者の方は「志望校、受験校以外の過去問を『やたらと』解かされていないかどうか」「はやく解けと『やたらに』指示を出されていないかどうか」を確認して下さい。もし、そのような指示が出ていて、お子さんに上記のような「症状」が出ていたら、「気にするな」と言って上げて下さい。「志望校、受験校以外の過去問を、はやく解けという指示のもと『やたらと』解かせる」などというのは、論外です。すぐに救助してあげてください。

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