一眼レフなのに見たまま写っていない...? - 写真撮影レッスン - 専門家プロファイル

宮本 陽
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兵庫県
カメラマン

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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一眼レフなのに見たまま写っていない...?

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カルチャーカメラ教室よりフィードバック

カルチャーカメラ教室よりフィードバック: 一眼レフなのに見たまま写っていない...?

タイトルの通り「一眼レフのファインダーは見たままの構図で写る」もので、これこそまさに一眼レフの特徴です。撮影操作時点で撮影者が見ている絵と、実際にデータとして写し込む絵を同じにするために一眼レフの構造が出来上がったのは、先のコラムでもお読みいただいたとおりです。

(ミラーレスカメラは一眼レフではないので対象とはなりません。過去コラム参照のほどを。)

 ところが、一眼レフカメラで撮影しているのにも関わらず、自分で確認した範囲と実際に写っている範囲が大きく異なる、という声が少なくないのです。カルチャーのクラスでも、構図にも意識をして撮影しはじめた頃になってそのような声が出てきます。

画面の一部分に本来意図していないかった空白があったり、メインとなる被写体の一部分が切れていたり...。という状況です。なぜこうした現象が起こるのでしょうか?


これは実際にあった事例です。

【構図を決める時点でファインダーと目が離れすぎている】

ある程度の撮影キャリアがある方にとってはあまりにも当たり前すぎることかもしれませんが、構図を決める時点で、目の位置がファインダーから離れすぎている(目がファインダーに接触せず空間が存在する状態)ために、写っているであろう範囲をすべて見ていない。という状態です。

【超望遠域で手ブレ補正が派手に効きすぎ】

光学ファインダーを備えた一眼レフであるにも関わらずその光学ファインダーを使わず、コンパクトデジカメのように背面液晶によるライブビュー機能を使用して撮影を行っています。
この状態で(超)望遠域を使用すると、安定させることが困難でかなりの手ブレを起こしてしまいます。同時に優秀な手ブレ補正機能が効くのは良いのですが、その揺り戻しが大きく、まるで船酔いをしたかのように画面が安定しない、という状況です。
そのため、揺り戻しの大きな振幅により構図も大きく変わってしまいます。その振幅の途中で「エイやっ!」と見込みでシャッターを押すので、意図した構図とは無縁の写真が出来上がる...。という次第。


前者のファインダーと目の距離に問題がある場合には、目を近づけることで改善できるはずなのですが、ここでまた別の問題が発生しました。
なんとそれは「目を触れるようにすると鼻が液晶モニターに触れるから嫌なんです!」 というご意見。

後者の手ブレ補正の揺り戻しについては、自分の目を光学ファインダーに付けて撮影するスタイルに変更すれば改善が期待できると思われました。ですが、なぜライブビュー撮影をしているのか?その理由が、先ほどと同じく「目を触れるようにすると鼻が液晶モニターに触れるから嫌なんです!」 でした。

背面液晶モニターが汚れることと、構図が思うように決めることができないことと、どちらを優先なさるかはご本人の判断ですが...。



【ファインダー視野率の問題も意外と多い】

他方、一眼レフの光学ファインダーとは言え、実際に写る範囲とファインダーを通して肉眼で確認できる範囲には差異があるものです。

「視野率」と呼ばれるこの差異は、機器のグレードが上がるに従い100パーセントに近づきますが、エントリークラスの機器では90パーセントに届かないものもあるようです。通常の手持ち撮影ではあまり問題にならないものですが、三脚に据えて自社商品などを撮影する方々にとってはこの視野率の低さがネックになる場合が出てきます。

構図の周辺部分ギリギリでテーブルのエッジが切れていたり、画面奥の端に、写らないだろうと思って置いていたペンケースがちょこっと顔を出していた...などというのがその例です。

これらは、ファインダー視野率が低いために本当は写っているのにファインダーではそれが見えていない、のが原因です。解決策は背面液晶モニターによるライブビュー撮影をすることで改善できるケースもありますが、ライブビュー撮影時の表示範囲(ファインダーでいう視野率)が100パーセントであることが前提です。


このように、本来ライブビュー撮影は、三脚に据えての撮影時に厳密に構図をチェックしファインダー視野率の問題をクリアするために行うはずで、手持ちの場合にはブレのリスクが大きくなるだけなのですが。

なるほど、汚れないようにするためにライブビュー撮影...ですか。時代は変わったものだと感じずにはいられません。

優秀な光学ファインダーを備えた一眼レフカメラでありながら、それを使わずコンパクトデジカメと同じようにしか使ってもらえないのは、道具の選択を誤っていると感じずにはいられません。


(サンプル画像: 画面の端ギリギリにフォーカス位置をもってきた構図。ファインダーから目が離れると確認できません。こうした撮影意図を形にするために「見たままに写る光学ファインダー」が必要とされるのです。)


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